2010年12月に創刊した女性向け文芸誌「GINGER L.」。創刊から3年、12冊の表紙を飾ったのは、仔猫たちでした。なぜ、猫だったのか。それは、編集長(わたし)が猫が好きだから。カメラマンの瀧本幹也さん(さまざまなアーティストの写真集やビールや車のCMなどで大活躍。最近では映画「そして父になる」の撮影を手がけた方です)が仔猫を撮るのは初めてでしたが、ご覧のように、可愛くもスタイリッシュな表紙となりました。
そして、今年の秋。創刊3周年を迎える「GINGER L.」の表紙の打ち合わせを、瀧本さん、デザイナの山本知香子さんと行ったのですが、そこで瀧本さんから衝撃の告白が。
「もう、これ以上……猫は撮れない」
……それはそうですよね。はい、すみませんでした。
三人で悶々と悩み続けること数時間。空や、海、NASAにアーティスト……。瀧本さんがこれまで撮影された素晴らしい作品の数々を前に、なかなか答えは出ません。文芸誌の表紙の正解って、なんだろう……? しばしの沈黙のあと、山本さんの「やっぱり、編集長の好き、が大事でしょう」の言葉に押され、口をついたのは、「じゃあ、カ、カレーで!?」。
というわけで、カレーになりました。すみません。でも、カレーと読書は相性いい、ですよね?
10月某日。真っ白で静謐で、低くクラシックが流れる瀧本幹也写真事務所のスタジオは、スパイシーで美味しそうな匂いに満たされていました。わたしのリクエストを受けて、フードスタイリストのHISAKOさんが、一年分、4種類のカレーを丹精込めて作り、持ってきてくださったのです。
そして、肉の位置、人参の角度、スープのツヤ、ご飯つぶの隙間、カレーとご飯の直線……、様々なディテールにこだわり抜いた撮影が行われました。
いやー、美味しかった……ではなくて、いい写真、いい表紙になりました!
今号の表紙は、ビーフカレー。ぜひ、ご堪能くださいませ。
担当編集者は知っている!!
「どうしてこの本を書いたのか」を語る著者インタビューや、立ち読みページ、担当者が語る編集秘話等々。新刊のとっておきオモテ話・ウラ話をご紹介します。