さる6月12日に行われた米朝首脳会談で、「非核化」と並ぶキーワードになったのが「体制保証」の語。しかし、日本の多くのメディアが用いた「体制保証」という訳語が、この会談の意味を見誤らせているのではないか?――話題作『ターゲテッド・キリング――標的殺害とアメリカの苦悩』(現代書館)の著者で、アメリカ政治に精通するジャーナリスト・杉本宏氏が、米朝首脳会談の意味と北朝鮮の今後を読み解きます。
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トランプ米大統領は、北朝鮮の非核化と引き換えに「金王朝」の存続まで保証すると確約したのだろうか。金正恩朝鮮労働党委員長は、非核化の道筋をあいまいにしたまま、喉から手が出るほど欲しがっていた「証文」を手に入れたのだろうか。先日、シンガポールで行われた史上初の米朝首脳会談での合意について、こんな疑問を抱いた人は多いようです。
「米国は北朝鮮に体制保証を約束」――こうした見出しが日本の主要メディアに氾濫したからです。これでは、「取引(ディール)の達人」を自称するトランプ氏が北朝鮮ペースで押し切られてしまったという印象を抱いても無理からぬことです。
ですが、はっきり申し上げて、それはあり得ません。
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