「子どもの頃からやっていないと、身につかないでしょ?」「もう若くないから、いまさら無理だよ」……そんなふうに思っているそこのあなた。英語をあきらめないでください!
英語学習の超プロ、菊間ひろみ先生は、「何歳からでも英語は身につく」と断言します。ポイントは次の3つの習慣。(1)音読する、(2)多読する、(3)英語表現を覚える。たったこれだけ。なんだかできそうな気がしてきましたね。
そんな菊間先生のメソッドが詰まった著書、『英語を学ぶのは40歳からがいい』。本の中から、一部を抜粋してご紹介します。これまで何度も挫折してきた方も、やろうやろうと思いながら先送りにしてきた方も、本書で英語デビューを飾りましょう!
「熟語集」はいますぐ捨てよう
受験英語では熟語や重要構文を覚えることが必要不可欠でした。テストで高得点を取るためには、それが必要だったからです。その刷り込みで、学習者のなかには、気の利いた熟語の数を増やすことが英語力アップにつながると思い込んでいる人が少なからずいます。「手っ取り早く熟語を覚えよう」と、会話によく出る熟語を集めた本を購入する人もいます。
しかし、実際の会話は熟語のオンパレードのようなものではありません。たとえば、ある英会話の本に、
Jack and I go way back. (ジャックと私は長い付き合いです)
という文が紹介されていました。go way backは「長い付き合いだ」という意味の熟語です。このような表現を知っているとカッコイイ感じがして、熟語を暗記することが会話力を伸ばす秘ひ訣けつだと思われがちです。ところが、go way backは付き合いの長さが話題に上ったときにしか使えず、あまり一般的とはいえません。
むしろ現在完了形「have / has + 過去分詞」を使って、
Jack and I have known each other for a long time.
あるいは
I've known Jack for a long time.
と表現するほうが一般的です。このように現在完了形を使えば、熟語を知らなくても簡単な動詞で表現することができるのです。
熟語よりよっぽど大事な「この表現」
実は、現在完了形「have / has + 過去分詞」という文法は、ネイティブ同士の会話によく登場します。これは「過去に始まった状態が、現在まで続いていること」を表すときに使いますが、現在完了形を使わずに会話するのがむずかしいくらい、日常的に使われる表現なのです。
現在完了形は、文章を覚えておけば、主語や動詞を置き換えるだけで、すぐに日常的に使うことができます。新たに英語表現を覚えるときには、滅多に使わない熟語より、このように応用範囲の広い言い方を覚えるようにしましょう。
では、熟語集の熟語の代わりに、何を覚えればいいのでしょうか?
その答えは簡単です。リスニングで聴いている会話文に出てくる表現を覚えればいいのです。
熟語集では、熟語が羅列してあるだけなので、どういう場面で、どういうときに使えばいいのかわかりにくく、実際の英会話に役立てることができません。その点、リスニングで聴いている会話にはストーリーがありますから、どういうときに使うのかが理解できます。単語や熟語は、前後の脈絡を理解することで初めて覚えられるものなのです。
「英会話スクール」に通う前にやるべきことがある
どこかの英会話スクールのコマーシャルの影響でしょうか。日本人のなかには、英会話スクールに通って外国人から習わないと、会話力が伸びないと思い込んでいる人がいます。
もちろん、外国人と話す機会があれば、「英語を勉強しよう」というモチベーションにはなるかもしれません。しかし、初心者レベルの場合、自己紹介や週末の出来事を言う練習をしたり、テキストに載っている英語の読み合わせをするぐらいなので、わざわざ高い授業料を払って外国人講師に教えてもらう必要はないと思います。
会話をするにはインプット、すなわちベースになる英語の学習が必要です。そもそも聞いたり、読んだりしたことのない文を話せるわけがありません。アウトプット(スピーキング)の量はインプット(リスニングやリーディング)の量で決まり、インプットがあって初めてアウトプット、つまり会話ができるようになるのです。
外国人講師から学ぶのは、英語の基礎力を身につけてからで十分間に合います。それまでは、これまで紹介してきたような方法で英語を覚え、すぐに使える英語表現や単語を増やすことが先決です。
『お金をかけるより、時間をかける』のです。