「子どもの頃からやっていないと、身につかないでしょ?」「もう若くないから、いまさら無理だよ」……そんなふうに思っているそこのあなた。英語をあきらめないでください!
英語学習の超プロ、菊間ひろみ先生は、「何歳からでも英語は身につく」と断言します。ポイントは次の3つの習慣。(1)音読する、(2)多読する、(3)英語表現を覚える。たったこれだけ。なんだかできそうな気がしてきましたね。
そんな菊間先生のメソッドが詰まった著書、『英語を学ぶのは40歳からがいい』。本の中から、一部を抜粋してご紹介します。これまで何度も挫折してきた方も、やろうやろうと思いながら先送りにしてきた方も、本書で英語デビューを飾りましょう!
1. 英語を「聴くだけ」の人
電車に乗っていると、イヤホンをつけて英語を勉強している人をよく見かけます。「がんばっているなぁ」と感心する反面、「聴くだけではだめですよ。音読が大切ですよ!」とアドバイスしたくなります。
音読に関して、次のような質問を受けたことがあります。「忙しくて家で音読をする時間が取れません。電車のなかで、口パクで英語を読む練習をしているのですが、それではだめですか?」というものです。
その方の気持ちはよくわかるのですが、残念ながら答えはノーです。自分が出した音を聴く必要があるため、口パクでは効果がないのです。
何度も音読した英語は、音読していない英語と比較して格段によく聴き取れるようになります。会話文を初めて聴いたときにどれだけ理解できたかよりも、最終的に聴き取れるようになることのほうがずっと大切なのです。そして、そういった英語をどんどん増やしていくことが、皆さんのリスニングの力を伸ばしていくことにつながるのです。
2. 「単語だけ」暗記する人
受験勉強の悪い影響で、日本人のなかには英単語さえ覚えれば、英文が読めるようになると思い込んでいる人が多くいます。また単語力がないから、単語帳で語彙力をつけてから英文を読もうと考えている人もいます。しかし単語だけ覚えても、読解力は伸びません。「はじめに単語ありき」ではなく、「はじめに英文ありき」なのです。
英文を読まずにリーディングの力を伸ばすことは、絶対に無理なのです。これは自信を持って断言します。語彙力は読んだ英文の量に比例します。ですから、自分のレベルに合った英文をたくさん読むことです。そして徐々にレベルを上げ、英文量を増やしていくのです。
私は職業柄、高い英語能力を持った人にたくさん会ってきましたが、共通しているのは読書家であることです。常に新聞・雑誌・ペーパーバックを携帯して読んでいます。しかし、彼らは英語の勉強が目的で、英語の文章を読んでいるわけではありません。英文に書かれた内容を知りたいがために読んでいるのです。
彼らにとって単語だけを学習するなど、とても考えられないことでしょう。文章を理解するためにわからない単語を調べるのは理解できますが、「単語だけ覚えるのは何のため?」と疑問に思うに違いありません。
英語の読解力は、英語を手段として使っているときに最も伸びます。朝起きて、何が起きたのだろうと思って英字新聞を読み、英語ニュースを聴いてください。
3. 英文を「分析」しようとする人
学校のリーディングの授業では、英文の主語、動詞、目的語、補語をチェックし、英文を分析することに多くの時間を割いています。
実際、英語の授業をのぞいてみると、まず教師が英文を黒板に書き、主語はどれで、動詞はどれか、どういう構文が使われているかを文法的に説明し、最後に日本語に訳して終わります。授業を受ける生徒も、英語の勉強は英文をバラバラに分解して、文法的な意味を知り、日本語に訳すことだと思っています。
もちろん、わかりづらい英文では、こうした英文分析が役に立つこともあります。内容理解という目的のための手段として、英文の分析が有効なこともあるでしょう。
しかし現在、英語の授業は手段であるはずの英文の分析が目的になり、本来の目的である内容の理解はどこかにいってしまった感があります。
このやり方に慣れてしまうと、分析しなければ英文が理解できないという思い込みから抜け出せず、内容をじっくり味わうことができなくなってしまいます。コミュニケーションに必要なのは、英文の分析ではなく、内容を理解することなのです。
くれぐれもそのような英文の分析はしないように気をつけてください。