こういうのは避けようとすればするほどに風邪を引いてしまうから、わたしはシャツを一枚脱いで、上半身を裸にし、雨を受け止めにいくようにペダルをこぐ。肌を突き抜かんとする雨粒が視界を遮る。強めのシャワーだと思えばいい。握っていた傘をゴミ箱に突き刺し、空いた右手で髪をかきあげシャンプーでもするように張り付く髪を後ろに流した。
真夜中の豪雨、ママチャリを立ちこぐ上半身裸の長髪はさぞかし滑稽な風景だっただろう。しかし、まあ、この豪雨の中ではその滑稽さも霞む。それほどに異常な世界がいつもの駅までの道の上にはあった。
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