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四十歳、未婚出産

2018.07.23 公開 ポスト

『四十歳、未婚出産』刊行記念特集 その1

四十歳で思わぬ妊娠。あなたなら、どうする?全ての女性への応援小説、試し読み。垣谷美雨

これが、子供を産む最初で最後のチャンスだ。「私の人生」噂や戸籍や世間体に左右されてる暇はない。

話題作連発、垣谷美雨さんの最新刊『四十歳、未婚出産』(7月26日発売)から、冒頭部分の試し読みをお送りします。

 

 

プロローグ

 それにしたって、この私が妊娠するなんて……。
 冬が来たら四十歳になってしまう。
 いったいいつの間に、そんなに歳を取ってしまったんだろう。
 深い溜め息で窓ガラスが丸く曇る。それを人差し指でなぞると水滴に変わり、つうっと滑り落ちた。
 宮村優子は特急列車の窓に額をくっつけ、水で濡らしたような水田の緑を見ていた。田植えを終えたばかりの短い稲が、溢れる日の光を受けて、そよ風に揺れている。
 もしも妊娠を打ち明けたとしたら、水野匠はなんて言うだろう。
たぶん、水野の顔に真っ先に現われるのは驚愕だ。そして後悔に歪み、そのあとは恐怖で引きつる。
 ──堕ろしてください。一生のお願いです!
 そう言って土下座するかもしれない。
 水野はまだ二十八歳だ。そして若くて美しい恋人がいる。
 彼を苦しめる気などさらさらなかった。酔っぱらっていたとはいえ、合意の上だった。それどころか、彼の温かな吐息と強引さを思い出すたび、今も頬が熱くなる。
 このまま何も言わずに、こっそり堕ろすべきではないのか。
 未婚の母になったりしたら苦労するに決まっている。
 でも……自分にはもう何年も前から恋人がいないし、年齢を考えると、子供を産む最初で最後のチャンスだ。
 だったら……。
 ふうっと大きく息を吐いた。
 ゆうべから突破口のないまま、同じことが頭の中をぐるぐる回り続けている。
水野とそうなったのは一回きりだった。
 あのカンボジアの夜、自分も水野も頭がおかしくなっていたのだ。

             1

 営業部から異動してきた水野とコンビを組んでまだ半年だった。
 団体ツアーの下見のために、水野と二人でカンボジアの都市シェムリアップを訪れていた。延々と続く椰子畑が途切れると、太古からの密林がどこまでも広がる。
 優子が新卒で楽陽トラベルに就職して十七年が経つ。所属はずっと企画部で、入社してすぐ国内ツアーが五年、そのあとのヨーロッパツアー六年を経て、今のアジア担当になって六年目となる。ツアー客には老若男女がいるから、男女がひと組になって企画を立てるというのが社の方針だ。
それにしても、カンボジアがこれほどまでに未開の地だとは想像もしていなかった。それというのも、直前に立ち寄ったベトナムもマレーシアも都市部は道路が整備されて高層ビルが立ち並び、今まさに高度成長期の真っ只中といった活気が満ち溢れていた。それらに比べると、カンボジアは大きく出遅れている。
とにかく暑かった。
 今までの暮らしの中で、これほど汗をかいたことがあっただろうか。連日四十度を超える茹(う)だるような暑さの中、白いシャツが汗で背中にべったりと貼りついた。ジーンズをやめて麻のイージーパンツを穿いてきて正解だった。
 アンコールワットの遺跡群を訪れたとき、まともな土産物屋がほとんどないことにも驚いた。ここは有名な世界遺産ではなかったか。もしも日本ならば、周辺には様々な店が林立することだろう。外国人観光客が大挙して押し寄せているというのに、これぞチャンスとばかりにガツンと稼いでやろうとは思わないのだろうか。諸外国との貨幣価値の違いを考えてみても、一生分を短期間で稼ぎ出すのも夢じゃない。だが、この灼熱地獄の中では、何ごとかを成し遂げようとする意志さえ湧きおこらないのか。それとも野生の果物があちこちにたわわに実っていて飢えの心配がないから、ハングリー精神など持ちようがないのか。一年中気温が高く、道端で寝ていても寒さで凍える心配がないからか。
広大な遺跡群の中には、現地の子供たちがここかしこに所在なくたむろしていた。
「小学校は今日は休みなの?」
 水野が現地ガイドのネサットに尋ねた。ネサットは三十二歳で身長が百八十センチある。カンボジア人の中では抜きんでて背が高いらしく、彼はそれを自慢にしていた。
「貧乏ナ子供、学校、行ッテマセン」
 聞けば、義務教育は法律で決められてはいるらしいが、貧しい子は小学校に通えず就学率は低いという。
「中国人ヤ韓国人ノ観光客ガ、子供タチニ、オ菓子ヤ飴ヲタクサン与エマス」
そう言ってネサットは顔を顰めた。「ダカラ子供タチミンナ虫歯ダラケ。貧乏デ歯医者ニ行ケナイ。困リマス」
「日本人はお菓子をあげないの?」と、水野が尋ねる。
「日本人ハアゲマセン」とネサットが即答する。本当だろうか。こっちに気を遣って言っているのではないか。
「ふうん、やっぱり日本人は子供たちのことをちゃんと考えてるんだな」
水野は誇らしげに言った。あっけらかんとした性格で、優子のように言葉の裏をいちいち詮索したりはしない。
 遺跡群から外へ出ると、小さな女の子が走り寄ってきて、いきなり目の前に絵葉書を突き出した。四歳くらいだろうか。エキゾチックな顔立ちをしている。薄汚れた衣服を身にまとい、足もとを見ると裸足だった。日がな一日、絵葉書を握りしめて外国人を追っているからなのか、売り物なのにどれも汚れてベタベタしているのが触らなくても見てとれた。
「私、買ってあげようかな。水野くん、どう思う?」
「どうでしょうか」と小首を傾げる。「子供を使って金を稼がせることに味をしめた親は、ずっと子供を働かせ続けるって聞いたことありますけどね」
「そうか、やっぱりやめた方がいいね」
「そうですね。もう行きましょう」
 ドライバーが待っている車の方へ行きかけると、女の子は小走りになって追ってきた。一生懸命に話しかけてくるが、クメール語なので何を言っているのかわからない。振り切ろうとしたが、あまりに必死な様子に優子は思わず立ち止まってしまった。見下ろすと、濡れたような瞳でじっと見上げてくる。幼児とは思えない美しい顔立ちだったので、思わず惹き込まれ、知らない間に見つめ返していた。
 こちらの強い視線に驚いたのか、女の子が数歩後ずさった。恐がっているらしい。それでも絵葉書を売らねばならないという強い使命感があるのか、逃げたりせず、視線も外さない。その真剣な黒い瞳を見ているうちに、切なさが込み上げてきた。
 前を歩くネサットが立ち止まって振り返るが、黙ったままだ。買ッテアゲテだとか、買ウ必要アリマセンとか、どっちでもいいから何か言ってほしかった。買った方がこの子のためなのか、それとももっと不幸になるのか。
もう一度ネサットを見ると、彼はうっすら微笑んだ。甘いお菓子を与えるのは反対だが、絵葉書を買うのは構わないと言っているのだろうか。
「ハウマッチ?」と水野が尋ねると、女の子が指を二本立てて「ツーサウザン」とかわいい声で答えた。親に覚えさせられた唯一の英語なのかもしれない。
「二千リエルって、一枚の値段のことかな」と水野がネサットに尋ねると、
ネサットはすっと女の子の前に出てクメール語で尋ねてくれた。
「五枚デ二千リエルト言ッテマス」
日本円にすると一枚十円くらいだが、この国の人々にとってはとんでもなく高い。
「俺、買います」
水野がショルダーバッグから財布を出したときだった。たくさんの子供たちが木陰から一斉に飛び出してきて、水野を取り囲んだ。僕のも私のも買ってくれと大騒ぎだ。みんな裸足だった。水野と二人で片っ端から買ってやった。いくら買ったところで安いものだった。安易に金を恵むなと批判する人もいるだろうが、この赤貧の現実を見たら無視することはできなかった。
お金を受け取ると、子供たちは嬉しそうな笑みを浮かべて、一目散に走り去っていく。一刻も早く家に帰って、母親が喜ぶ顔を見たいのだろう。
小さな背中を見送りながら、「こういうのを安っぽい同情心って言うのかな」と優子はつぶやいていた。
「それはそうかもしれませんけど……でも今日一日だけでもあの子たちが美味しい物にありつけたらいいなと俺は思います」
「そうだね」
 目を見合わせたとき、ここには日本人は二人だけなんだと強烈に意識した。そのときは、豊かな国から来て、たった数百円の端金(はし たがね)で幸せを分け与えてやったと、恩着せがましい優越感に浸っている、とは思わなかった。とてもいいことをしたと満足していた。今考えると、感覚が麻痺していたのかもしれない。
出口に向かって並んで歩いていると、「宮村さん、あれ見てください。信じられない」と水野が土手の方を指差した。見ると、木陰にシートを敷いて家族らしき六人ほどが輪になって座り、食べたり飲んだりしている。身なりからして地元住人のようだった。
「信じられないって、何が? 普通のピクニックでしょう?」
「端っこに座ってるの、子供じゃないんですよ」
近眼の優子は目を細めて、もう一度見た。そこには行儀よく座っている猿がいた。隣の中年女性が手渡しでパンを与えると、大人しく食べ始めた。驚いて見ていると、頭上の生い茂った木から、猿がもう一匹するすると降りてきた。その猿も人間たちの輪に入り、ちょこんと座った。誰も追い払おうとせず、猿にパイナップルを一切れ渡してやっている。
「俺、あんなの見たことないです。野生の猿ですよ。飼ってる猿じゃないんですよ」
 水野は興奮気味に言いながら、しきりにカメラのシャッターを押している。
猿も犬も本当は自分たちと同列の仲間なんじゃないだろうか。陽炎(かげ ろう)で視界が揺れる中、そんなことをぼんやり考えた。
「出口マデ遠イデス。トゥクトゥク乗リマショウ」
二列のシートの前列にネサット、後列に水野と並んで座った。トゥクトゥクが走り出すと土煙が上がった。窓がないので、ハンカチで口を抑える。
それにしても、昔ながらの土の道路が多いのに、どうしてこうも暑いのか。近い将来、カンボジアも発展し、どこもかしこもコンクリートだらけになったら、今より更に気温が上がるのだろうか。
「カンボジアニ来テカラ、年寄リヲ見マシタカ?」
ネサットが後部座席を振り返り、優子と水野を交互に見て尋ねた。
「老人? そういえば……見なかったかも」
優子が答えると、ネサットは満足そうにうなずいた。
「ソーデショウ。国民ノ平均年齢ハ二十三歳デスカラ」
 ポル・ポトの虐殺と長期間の内戦により、三十代以上の人口が極端に少ないという。総人口の半分以上が二十四歳以下だというのだから日本とは大違いだ。
そのとき、トゥクトゥクが急停車した。前方を見ると、痩せた牛が道路の真ん中を堂々と横切っていくところだった。当てもなくウロウロしているといった感じだ。野良犬たちも、あちこちの日陰で顎を地面に投げ出してだるそうに横たわっている。元気なのは猿だけで、バイクの上を飛び跳ねたり、人間の肩に登ったりしている。人々も慣れているのか、それともその猿とは顔なじみなのか、追い払ったりしない。とはいえ、ことさら頭を撫でたりもしていない。その様子はペットをかわいがる日本人とは異なっていた。まさに共存しているといった感じだ。
 そんな姿を見ているうちに、東京での残業の多い生活に、ふと疑問を抱いた。もっと自由に、もっと思うがままに、自然に身を任せて生きたい。それが本来の人間の姿ではないのか。そんな現実離れしたことを考えていた。暑さで思考力が低下した分、感情だけが鋭敏になり、感傷的な気分に陥っていたのだろう。目に映るもの全てが、原体験を呼び覚ますといった感覚の中にいた。
 幹線道路に出ると、トゥクトゥクから日本車に乗り換えて、マーケットの駐車場まで行った。駐車場からマーケットまでは三分ほど歩かねばならないらしい。四十度を超える炎天下では頭がくらくらしそうだった。
 歩いて一分もしないうちに、突然辺りが暗くなり始めた。見上げると、黒い雲が青空の中を這うように侵略してきていた。
「モウスグ、スコール、来マス」
 ネサットが言い終わらないうちに、大粒の雨が頬に当たった。
 バッグから折畳み傘を出そうとするが、なかなか見つからない。海外での仕事用にと買い替えたばかりの軽量バッグをまだ使い慣れていなかった。ポケットがたくさんあるから便利ですよとデパートの店員に薦められて買ったのだが、ポケットが多すぎて、どこに何を入れたか覚えていない。真っ昼間だというのに、辺りがどんどん薄暗くなってきて、黒いバッグで裏地の色も傘の色も黒とくれば、手探りで探すしかない。スコールは大地を叩き、凄まじい強さで身体に降り注いだ。地面は土なのに、コンクリートかと思うほど勢いよく雨が跳ね返ってくる。
 傘を開いたときには、既に全身びしょ濡れだった。水野はと見ると、彼もやっと傘を開いたところだった。ネサットは傘もささずに、平然と顔を天に向けて口を大きく開けている。この国ではミネラルウォーターを買える金持ちは一握りだ。それ以外の人々にとって、雨が最も清潔な水なのかもしれない。
ジャングルの方に目を凝らすと、水煙がもうもうと立ち上っていた。水野がこちらを向き、何やら話しかけてくるが、雨がバチバチと傘を突き刺すような音を立てるので聞きとれない。雨音の大きさは、恐怖心を誘うほどだった。
「み、や、む、ら、さん、雨宿り、できそうな所、ない、みたい、ですね」と、水野は区切りながら大声を出す。
 見渡す限り建物がなかった。
「ダイジョブ。スグ止ミマス」と、ネサットも怒鳴るような大声で言った。
 次の瞬間、いきなり音がしなくなった。そのことで、雨が止んだことに気がついた。
「宮村さん、すげえエロいですよ」
 水野が優子の胸の辺りを遠慮なく見る。育ちの良さからくるものなのか、彼が白い歯を見せて笑うと、いやらしさなど微塵もなかった。
「白いシャツなんか着てくるんじゃなかったわ」
 ぴったりと肌に貼りつき、下着がはっきり透けて見えた。
 空を見上げると、さっきの豪雨が嘘だったように晴れ渡っていた。雨のお陰で気温が一気に下がるだろうと期待したのに逆だった。まるでサウナにいるかのように、息苦しいほどの蒸し暑さが全身を包み込んだ。水野のサングラスも曇っている。
 バッグからペットボトルを出して水をがぶ飲みした。カンボジアに来てから、このミネラルウォーターはいったい何本目だろう。飲んでも飲んでもすぐに喉が渇く。何本あっても足りない。タオルハンカチで髪や洋服を拭きながら、ネサットに案内してもらいマーケットに向かって歩いた。
 体格のいいネサットの後ろ姿は堂々としている。びしょ濡れになってしまったが、清潔な白いシャツとピシッとアイロンの利いた黒いズボンを穿いていて、マーケットで働く現地の人々とは一線を画していた。ネサットはダムレイ・ネサットという名だが、「ダムレイ」は父親の名前で象を意味し、「ネサット」は漁師という意味だ。カンボジア人には名字がない。彼は楽陽トラベルと直接契約を結んでいて、日本とは貨幣価値が大きく違うので、この国では大金持ちだ。研修に参加するため、年に一度は来日している。
 ──将来ハ大統領ニナルツモリデス。
 会ってまだ二日目だが、その言葉を何度か聞いた。冗談でないことは、その真剣な表情から見てとれた。まだ三十二歳だが、既に小学校と中学校を作ったという。親族の中で一番の稼ぎ頭で、甥や姪にも教育費を援助してやっているらしい。
 ──日本ハ素晴ラシイ国デス。コノ国ヲ、必ズイツカ、日本ノヨウニ発展サセマス。
 彼の力強い言葉を聞いたとき、無性に羨ましくなった。貧しい国に生まれたからこそ持てるバイタリティだ。戦後すぐの日本もこうだったのだろうか。
「ネサットさん、あの果物は何なの?」と水野が尋ねた。
 水野の視線を追うと、あちこちに果物売りの男たちが地べたに座っていた。南国の色とりどりのフルーツが、筵(むしろ)の上に山と積まれている。
「右カラ、ランブータン、パパイヤ、ドリアン、龍眼、タマリンド、釈迦頭、マンゴスチン、ソレニ……」
「どれがお薦めですか?」と、水野が興味津々といった目をして尋ねている。
「ソウデスネ……」とネサットは考えている。「全部オイシーデス。デモ、日本人ガ一番好キナノハ、タブン、マンゴスチン、デショー」
そう言って、赤黒くて丸い果物を指差した。
「俺、初めて見たよ。名前はマンゴーに似てるけど、見かけは全然違うんだね」
「味モ全然違イマス」
「食べてみたいなあ」
 水野が財布を開くと、店の男がここぞとばかり大袋に入ったマンゴスチンを差し出した。水野は二つか三つほど買うつもりだったのだろう。あまりの多さに戸惑っているが、信じられないほど安価だったこともあってか、苦笑しながら大袋を受け取って胸に抱えた。
 そのあとは予定通り観光コースを視察してからホテルに送り届けてもらい、そこでネサットと別れた。
 その夜は、ホテルのレストランで水野とバイキングの夕食を取った。
地元企業はまだ育っていないのか、まともなホテルといえば外資系の一流ホテルしかなかった。それらにはもともとシングルルームがないので、ツインルームを二室取ろうとしたが満室で、仕方なくスウィートルームを二つ予約していた。ヨーロッパでは高額すぎて泊まれないが、カンボジアは物価が安いので、出張費としては許される範囲内だった。
 部屋に入ってみると、ダブルベッドが置かれた寝室と、二十畳ほどの広々としたリビングルームがあり、大理石造りの立派なキッチンまでついていた。あまりに広すぎて落ちつかなかった。水野の部屋もたぶん同じような造りだろう。同じ階だが、何部屋か離れていた。
 早く汗を流したくて、すぐにシャワーを浴びた。そのあと、寒いほど冷房の利いた中でテレビをつけた。NHKが映るというのでチャンネルを回してみたが、ニュースではなくバラエティ番組の録画だったのでがっかりした。大きなソファに寝そべって肘かけに両足首を載せると、足の裏からジンジンと疲労感が襲ってくる。頭にバスタオルを巻いたままだった。早くドライヤーで乾かさないと変な癖がついてしまう。そう思いながらも、いつの間にかウトウトしてしまった。
 ドアをノックする音で目が覚めた。

(続きは単行本でお楽しみください)

関連書籍

垣谷美雨『四十歳、未婚出産』

四十歳目前での思わぬ妊娠に揺れる旅行代理店勤務の優子。これが子供を産む最初で最後のチャンスだけど……。お腹の子の父親であるイケメン部下、偏見のある田舎の母親、パワハラ上司、不妊治療に悩む同期、誰にも相談できない。シングルマザーでやっていけるのか? 仕事は? 悩む優子だったが、少しずつ味方が現れて気持ちは固まっていく。

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垣谷美雨

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』などがある。

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