少子化社会のモラハラ、パワハラ、マタハラ、セクハラ……と、しなやかに、強かに闘う女性の痛快長篇『四十歳、未婚出産』(垣谷美雨)。書店員さんから、様々な感想が届いています。
「授かりもの」とは、よく言ったものです。宿った命を守るため、女性がとる行動や決断は正義だと思います。……という硬い話ではなく、本当に面白かったです。
(文教堂北野店 若木ひとえさん)
既婚女性の妊娠出産でさえ大変なのに、もし私の周囲で40歳の未婚出産が起こったらどう対応すればいいんだろう。妊娠の経緯が『一夜の過ち』という点が若干引っ掛かりはしたが、何が起こるかわからないのが人生ですからね。同級生の住職・凡庸さんがやけに男前に感じました。あの決断は凄いと思います。
(本の王国豊田吉原店 莨谷俊幸さん)
登場人物それぞれの立場からの目線で描かれていて、とてもリアルに読んでしまいました。優子がんばれ!! もしかしたら凡庸の子も生めるかもよ。紗絵の執念が怖かったけれど、彼女の生い立ちもあまり幸福そうではないみたいなので、勝手に今後の彼女へエールを送ります(笑)。エピローグのお母さんのモノローグがすばらしすぎました。
(ブックセンターほんだ 原田みわさん)
「御同行、御同朋の意味がじわじわ染みてきた」
パルムドール賞受賞作の「万引き家族」を観た。読んだ。血の繋がらない6人が、目に見えない絆だけを頼りに都会の片隅で生きていく物語だった。この作品は、逆に! 血の繋がった家族の物語だった。そしてそれは職場や訪れた国や地域、そして自分の故郷にも「絆ってあるんだ」という事を感じさせる物語でもあった。明と暗に分けられるに作品だが、奇しくも絆というキーワードに繋がれ、そして同じタイミングで私の前に現れたことになにか意味があるのだろうかと、考えずにいられなかった。トレンドを飲み込み、そして読ませる考えさせる小説に仕上げる垣谷先生の手腕に魅力を感じます。
(マルサン書店仲見世店 小川誠一さん)
生まれてくる子どもはどんな境遇でも祝福されてほしい。切実なテーマをコミカルに描く筆致に感嘆した。すべての女性にエールを贈る一冊であろう。
(戸田書店掛川西郷店 高木久直さん)