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笑えて、泣けて、するする頭に入る!超現代語訳 幕末物語

2018.08.01 公開 ポスト

エピソード4

「若くて賢くてカッコイイ」青年と、「血統と可愛いさが申し分ない」若い男子。大奥のお姉さんたちは、はどっちがお好き?房野史典

朝廷と幕府が、バッチバチの関係になります。
まさに、それこそが幕末! だって、「幕末」って言ってる限り、幕府はもうすぐ終わるんだもの。
で、出てきたのが、跡継ぎ問題。
あなたなら、どっちに一票入れる?「若くて賢くてカッコイイ」青年と、「血統と可愛いさが申し分ない」若い男子。

この面白すぎる幕末物語は、
8月24日に発売となる『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』の入稿当時の原稿より、お届けしています。

幕末を理解するのに、戦国時代のことがわかると、なお素敵!ぜひこちらもお読みになってください!→『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代』

 

 *   *   *

 剣を取るか、ペンを取るか。
 そんなことより、私たちの王子様はどっち?


 幕末エピソード4になります。
 前回のおさらいからお付き合いくださいませ。

 吉田松陰センセー、黒船乗り込んだ後、《松下村塾》開いたよー。
   ↓
 島津斉彬さん、《集成館事業》やったよー。西郷さんも見つけてるよ。
   ↓
 幕府とハリス、日米修好通商条約の条文まとめる。

 ついに、"貿易やっちゃう条約"を結ぼうとする幕府。
 もう中身出来上がるよーってタイミングで、攘夷派から
「ふざけんじゃないよー! 条約なんて結ぶんじゃねぇよ!!」
 という、大反対の声が大量発生します。
 その中でも、とってもジョーイ(攘夷)おじさん
 前水戸藩主・徳川斉昭(またまた登場)は、
「反対に決まってんだろがーー!!」
 ひときわ大きなシャウトを放っておりました。
 斉昭がいる水戸藩は、「天皇を敬うんだ! そして、外国人は追い払うんだ!」という
 尊王攘夷(ほら出てきた)
 って考えを、日本で一番早く示した藩だったので、このおじさん、人一倍うるさいんです(あの水戸黄門さんがいたのが水戸藩。その時代から始まったとされる《水戸学》っていう学問の研究の中にあったのが"尊王攘夷"っす)。
 しかも、幕府にとって厄介だったのは、この"尊王攘夷"が流行ってしまったこと。

幕末の誰か「外国来たーー! でも幕府頼りにならねーー!」
尊王攘夷さん「幕府なんかより天皇や朝廷を推して、外国人追っ払おうぜ!」
幕末の誰か「それだーーー!」

 幕府への不信と、尊王攘夷の考えが、ガシャーン! とぶつかり、大スパーク。
 流行語大賞とレコード大賞とグラミー賞とバロンドールを取るほどの大流行を巻き起こしたんです(ちょっと言い過ぎました)。
 そしてこの流行、尊王攘夷の考えで活動する
 志士
 と呼ばれる存在を作り出したのでした(「幕末の志士」とか「維新志士」みたいなの聞いたことありません?)。
 幕府は、こんな人たちから大反対を喰らい、条約にサインができない状況。
 どうなる、日米シューツージョー(日米修好通商条約。略したらヘンになった)。

岩瀬忠震(ハリスとの交渉役)「あの……さぁ……。調印(署名とか捺印ね)なんだけどさ……。ちょっと待ってもらえないかな?」
ハリス「え……なんで? あとはサインするだけじゃん? ねぇ……なんで?」
岩瀬「オレたちの関係に反対する人がたくさんいて……」
ハリス「なにそれ……意味わかんない……。岩ちゃんは私と条約結びたくないってこと!?」
岩瀬「そんなことない! オレだって結びたい!! ただ……調印は待ってもらいたい……。必ず反対してる人たちをダマらせてみせるから! だから……お願い」
ハリス「岩ちゃん………。わかった、私待ってる……」

 婚姻届(条約)に、彼氏のハンコを待ちわびる、女子ハリス(おっさんすけどね)。
 どうにか周りの反対を押し切って、サインをしようとする彼氏の岩ちゃん(おっさんすけどね)。
 彼氏は彼女を悲しませないためにも、踏ん張ります。
 だって彼女がスネちゃうと……、
 大砲撃ってくる可能性があるから。
 と、そこへ、悩める岩ちゃん・ハリスカップルを救うべく、

堀田正睦「岩ちゃん! ハリス! 待ってろ! 反対派黙らせる"秘策"持ってきた!」

 老中首座の、堀田正睦さんが登場します。
 彼が小脇に抱えた"秘策"ってのが
 勅許(ちょっきょ)
 というもの。
 これ何かっていうと、
 "天皇の許可"
 のことなんです("勅許"、"勅命"、"勅書"。とにかく"勅"ってついたものは「天皇の命令」って覚えといて。"勅"は、このあとスーパーキーワードになってくるよ)。

堀田「2人とも待っといてくれよ! ……(歩き出す堀田)朝廷が認めて、天皇の許可がくだれば、尊王攘夷の連中も納得せざるを得ない。これですべてが丸く収まる! フフフ……条約の許可をもらうなんて簡単だ。朝廷は政治に無関心なんだから、『許可してください』『いいよ』『ありがと』これでおしまい笑。チョチョイのポンポンポーン! よww 公家(貴族さん)たちにワイロも持ってきたし、なんてイージーモードな仕事だろwww (朝廷に到着)あ、勅許ください」
朝廷の人「あ、ダメです」

 ダメでした。
 てか無理に決まってます。
 公家ってのは、重度の外国人アレルギーで、
「あいつらはケダモノやさかい!」
 って決めつけちゃってる連中ばかりですから。
 それに加えて、志士たちが

志士「幕府なんてオワコンです! マジ、朝廷の方がアツいっすよ!」
朝廷「そ、そぉお(エヘヘ)?」

 と、おだてるもんだから、幕府に対してメチャ強気の、スーパー攘夷に仕上がってたんです。
 幕末でおそらく一番有名な公家、
 岩倉具視(いわくらともみ)
 さんなんかは、88人の公家を集めちゃって、条約反対の大抗議とかしちゃう。
 さらに、時の帝である
 孝明天皇(こうめいてんのう)
 も、外国人のことが大っ……キライ。
 当然のように、条約結ぶことには大反対だったんです。
 そして実は、この堀田さんの行動、かなりやらかしちゃってるんです。
 今まで、政治は幕府だけでやってきました。でも「許可ください」ってお願いしたら、朝廷を政治に参加させるってことになるんですね。しかも、幕府より上の立場として。
 で、朝廷に「条約許可しない!」と言われ、幕府はそれに従うことになった。
 これって……「今後、朝廷が『YES』を出さないと、どんな政策も進めることができない」っていう"事実"を作ったことになるんです。
 阿部さんに続き、堀田さんのせいで、幕府の力がさらに弱くなったのは確かでした。
 それを受け、岩ちゃん・ハリスカップル……。

岩瀬「ごめん……朝廷にさ、お願いしに行ったんだけど……ダメだったんだ………どうしよう……。朝廷がまさか断ってくるとは思わなかったから! やっぱり朝廷に……」
ハリス「さっきから朝廷朝廷って、ナニよ! 幕府が政治をやってるんじゃないの!? 朝廷って機関があるなんて聞いてない! ……岩ちゃんたち私をダマしてたんでしょ? もういい。アタシがその朝廷ってとこと、直接お話しするから」
岩瀬「それはダメだ! そんなことしたら幕府の存在意義がなくなっちまう! オレが絶対なんとかする! だから! あと3ヶ月待ってほしい! 3ヶ月たったらどんな状況であろうと条約にサインする! 約束する!」
ハリス「………ホントに? 約束やぶったらギャン泣きしながら大砲撃つよ?」

「約束やぶったらギャン泣きしながら大砲撃つよ?」
(写真:iStock/Anna-av)

 メンヘラハリス(違いますけど)に、寄り添う岩ちゃん。
 調印のリミットは3ヶ月後に決定。
 時間、まったくありません。
 そして、幕府のトラブル、これだけじゃなかった……。
 条約だけでもハイパートラブルなのに、も1つメガトントラブルを抱えてるからややこしい。
 それっていうのは、
 跡継ぎ問題――。
 このときの将軍・徳川家定(13代だよ)は、体が弱くて、しかも、優秀とは真逆の人(って言われてます)。

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猛烈なスピードで変化し、混乱を極めた幕末。吉田松陰は、プリズンライフをエンジョイして牢獄を学校にしちゃうし、勝海舟は幕府を「オワコン! 」って言っちゃうし、坂本龍馬が新時代の構想をパーフェクトに語った噂は嘘かもしれないし。超フクザツで、その分ドラマチックな時代を、「圧倒的に面白い」「わかりやすい」と評判の超現代語訳で一気読み。

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笑えて、泣けて、するする頭に入る!超現代語訳 幕末物語

歴史大好き芸人・ブロードキャスト!!の房野史典さんの初めての本『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代』は、面白すぎてヤバイ!ととても話題になりました。発売になると、有名な歴史の先生方も「こんなに面白く読ませるなんて!」と大絶賛でした。
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房野史典

1980年、岡山県生まれ。名古屋学院大学卒業。お笑いコンビ「ブロードキャスト!!」のツッコミ担当。無類の戦国武将好きで、歴史好き芸人ユニット「ロクモンジャー」を結成し、歴史活動にも意欲的。子どもたちに歴史の面白さを教える授業も好評。初の著書『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代』でブレイク。その他の著書に、『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』『時空を超えて面白い! 戦国武将の超絶カッコいい話』など。

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