昨日行なわれた、漫才の日本一決定戦「M-1グランプリ2022」。音符を運ぶことに挑戦するという独特のネタを披露した、男性ブランコ。惜しくも決勝4位となってしまいましたが、Twitterでは「音符運び」がトレンド入りするなど話題になりました。
今回は、音符をなかなか運べなかった平井まさあきさんの過去の連載「学ぼう!珍妙奇妙な深海のいきもの」から、深海に住むダイオウホウズキイカへの愛を綴った回をご紹介。平井さんのシュールでちょっぴりかわいい癒しの世界に、ぜひ潜ってみてください。
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こんにちは。深海の生き物が大好きな芸人男性ブランコ平井まさあきです。
深海の生き物が好きすぎて、深海に移住を考えております。明日にでも不動産屋に行き、駅近、お風呂とトイレが別のセパレート、窓は南向き、家賃5万円、深度2000メートルの物件を探しにいきます。冒頭から、門前払い確定な条件を希望してしまうほど深海が好きで、近い将来、深海アパートができると僕は信じています。「コーポダイオウイカ」みたいな。
さて第1回では、ウロコフネタマガイ(別名スケーリーフット)という巻貝を紹介させていただきました。鉄の鱗を纏った実に珍妙奇妙奇天烈な深海の生き物でした。
今回は、僕が最近、特に魅せに魅せられている生き物を紹介させていただきます。それは深海の生き物の中で最も有名で、偉大な名前を持つ、ダイオウイカ!
ではなく、、、
ダイオウホウズキイカというイカです。
おいおい、と。おいおいコノヤロウ、と。「第2回目のクセに奇をてらい過ぎじゃねえか?ストレートにダイオウイカを紹介するのが筋ってもんじゃねえか。てめえ、まさか宵越しの銭持ってやがるな?あれだけ宵越しの銭を持つなって言ってんのに、コノヤロウ」と。
そんな感想を持たれた江戸っ子の皆さん、落ち着いてください。僕は奇をてらっているつもりは毛頭ないのです。本当にこのダイオウホオズキイカという珍妙奇妙奇天烈な生き物が好きで、皆さんに紹介したいと思っているのです。その想いがピークを迎えたため、この連載のアイコンにもさせていただいております。
ダイオウイカがあまりにも有名であるがゆえ、なかなか表に出ないダイオウホオズキイカ…。
このダイオウホオズキイカの生態は解明されてないことが多く、不思議にまみれている生き物です。ちなみに、「ダイオウイカ」と「ダイオウホオズキイカ」の体の違いをイラストにしてみます。
おお~、イカ。まさしく姿形は、とてもイカイカしいイカです。このダイオウホオズキイカの全長は12~14メートルと言われています。ダイオウイカは全長最大18メートルにもなるので、比べると若干小さいです。しかしダイオウホオズキイカの胴回り、体重はダイオウイカを凌ぐのです。タッパはないけど、がっしりしています。まるで漫画『ドカベン』の山田太郎のようです。
さて、このダイオウホオズキイカの最大の特徴。それに僕は魅せられて魅せられて脳みそがとろけてしまいそうです。先ほどのイラストでは絶妙に、その特徴が見えない側を描きました。次のイラストにはその特徴が見える側を描いて見たいと思います。それがこちら。
くう~。くう~(最近の猛暑日に瓶ラムネをグビ飲みした時の「くう~」)。そうです。イカの触腕(イカ足の中で二本だけ長い部分)の先っぽに、鉤爪(かぎづめ)がついてるのです。鉤爪ですよ、鉤爪。この鉤爪は吸盤が変化したものだそうです。
この鉤爪はダイオウイカにはありません。この「俺に近づくと引っ掻いちゃうぜ」的な鉤爪。さらに、この鉤爪は360度回転するのだそうです。もう鉤爪ドリルです。この鉤爪ドリルをお見舞いされたら、巨大なハンコ注射の痕が残っちゃいます。カギヅメドリル。カタカナ化するとポケモンの技みたいです。
ダイオウホオズキイカは腕に吸盤を持たず、待ち伏せをして、この鉤爪で獲物を捕獲するのだそうです。きっとマッコウクジラなどの外敵から身を守るためにも使われるのでしょうね。マッコウクジラもタジタジ!もはやマッコウタジラ!
そしてもう一つの特徴は生き物界最大級の目玉の大きさです。目玉一つが約30センチもあり、バスケットボールサイズです。激デカです。
どうしてこんなに大きいのか。当初は深海のわずかな光を逃さないためと考えられていましたが、いくら目が大きくても、深海の暗闇では物体の識別には、そこまで役に立たないことがわかりました。
さらに現在の研究によると、この大きな目玉は極度の遠視だそうです(大きな目なのに遠視なんかい。かわいいやないか)。
そのために天敵であるマッコウクジラが近づく際に生じるわずかな光の揺らぎを見るためだと言われています。
「わずかな光の揺らぎを見る」
イケてます。かっこいい。ブルース・リーがカンフーの極意としてこの言葉を残してそう。
深海の生き物の大多数にも当てはまるのですが、ダイオウホオズキイカの生態はまだまだわかってないことばかり、これから「~だそうです」がどしどし更新されていくのだと思います。
僕はこれからも大好きなダイオウホオズキイカの行く末に目を光らせ、そのわずかな光の揺らぎも見逃さず、追いかけていきたいと思います。
今回ダイオウホオズキイカを紹介させていただきました。少しでもダイオウホオズキイカ、ひいては深海の生き物、ひいてはこのコラムを好きになっていただきたいです。次回はとてもド真ん中ストレートにかわいい深海の生き物を紹介したいと思います。
学ぼう!珍妙奇妙な深海のいきもの
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