◆人事部が悪い社員を社内調整=ブッ殺す!?◆シリーズ累計150万部「ニンジャスレイヤー」チームが描く衝撃の社内スパイアクション『オフィスハック』待望の4thシーズン! 舞台は東京・丸の内の巨大企業T社。人事部特殊部隊「四七ソ」の香田と奥野に今日も新たな社内調整指令がくだる。不正を働くオフィス内のクソ野郎どもをスタイリッシュかつアッパーに撃ち殺せ。テイルゲート! ショルダーサーフ! 禁断のオフィスハック技の数々を正義のために行使せよ!
◆13◆
正午近く。
外気温は四〇度近い。ほとんど災害レベルだ。ブラインドこそ降りているが、オフィス引っ越しで手に入った全面窓からは、殺人的な太陽光が差し込んでいる。
四七ソのシマには、おれと鉄輪、高橋がいて、静かに報告書作りをしていた。後藤は一足早い昼食だ。井上とアスカンは調整業務のために、京浜東北線で横浜に向かった。室長と奥野さんは、人事部からまだ帰ってきていない。
例の誤配ダンボールは厳重に封をされ、給湯ポット机の上に所在なく置かれていた。
「あの資料。あの資料が引っかかるんだよな……」
報告書をまとめようとしても、うまく頭が回らない。今思えば、あれは明らかに人事部による押収資料だ。そして間違いなく、奥野さんのダンプスター・ダイブによる修復痕だ。しかし、おれには全く覚えの無い日付と部署名だ。
ということは、奥野さんはいつの間にか、おれの知らない別の仕事をしていたのか?
「いや、ありえないな……」
基本的に奥野さんはメンターであるおれと一緒に動く。おれの知らない調整案件を、奥野さんが一人で受け持つことはない。実際、奥野さんだって否定していた。
だが、奥野さんが、それを隠そうとしていたのだとしたら?
「単におれの勘違いだったらいいんだが……」
「もう、うッさいなあ」
思わず口に出していたようで、鉄輪が舌打ちしてヘッドホンをかけた。
こんなことじゃダメだ。おれは報告書に意識を戻そうとした。
だが数分後にはまた、あの修復ファイルの光景が目の前に蘇った。疑心暗鬼は、まるで麻薬かドル円チャートのようにおれの心を蝕んでゆく。
ツルルルルルルルルル。
あれは、おれの軽はずみな一言が開封させてしまったパンドラの箱だったのか。室長が広げて中を見たのは、そのうちの1冊だけだったが、他のファイルにも同様の書類が収められていたとしたら……奥野さんは……。
ツルルルルルルルルルルルルルル。
気がつくと、机の上で呼び出し音が鳴っていた。
「あッ」
「はい、こちら四七ソ」
高橋が内線を受けた。
「あ、室長……はい、わかりました。業者の人が島まで取りに来るんですね。はい」
そしてすぐに切って、また報告書作成に戻った。
「ん? 高橋、いまの内線、室長から?」
「ええ、第一人事部と話がついたので、ロジスティクスに取りに来させるそうです」
「あっそう。以外と早くケリついたね」
鉄輪がチョコラBBを飲みながら返した。経緯説明が入るなら、おれの疑念も晴れるだろうか。そうあってほしい。あと少しの辛抱だ。
少しして、パーティションの方に人影が見えた。
「どうも、あざっす。T運輸の者ですけどー」
ゲストIDカードを提示して現れたのは、ネイビー色の作業服を着た4人組の若い男だった。外は暑かったのだろう、4人ともダラダラと汗を流していた。
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