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おしぼりを巻き寿司のイメージで食った

2018.08.13 公開 ポスト

次はきっとうまくいく、を呪いのように自分に言い聞かせてきた結果忘れらんねえよ柴田隆浩

 今日はちょっと悲しいことがあったから眠れない気がする。どうせ眠れないなら、その時間を使って今思ってることを記録しておこうと思う。

 僕は女性とうまくしゃべることができない。なんだけど、そういう話を誰かにしてしまうとよく、「自信持って!」とか「女子の前でおどおどしてしまうって言うけど、絶対相手はそれに気付いてないよ!」とか「相手がどう思うかより、自分が楽しむことだけを考えるといいよ!」とか言われるんだよね。

 全部、知ってる。全部正しいよ、それ。でもどうしても、心が言うことを聞いてくれないんだ。勝手に汗が出てきて、声が震えて、鈍い頭痛がしてきて。そして強烈な不安感と共に「早くこの場から逃げたい!」っていう衝動が襲いかかってくる。理屈では、考え過ぎ、思い込み過ぎ、自分のことばっか考え過ぎ、って分かってるし、なんなら最近はこういう症状が出たとき脳内で「柴田、気楽に行こうぜ!楽しもうぜ!」とか自分で自分にエールを送ったりしてるんだけど(ダセえ笑)、無理なのよ。全く効かん。どうにも立て直せないんだよなあ。

 そうそう、そうなったあとは深く悲しむんだけど、しばらくたったら毎回、やっぱ立ち上がんなきゃ、次はきっとうまくいく、つって奮起しちゃうんだよな。そんでまた同じ過ちを繰り返す笑。悪い癖だわ。でもこのルーティン、振り返ってみたらもう15年ぐらいずっと続けてる。だからなんだろうな、なんか最近、ほんとにしんどくなってきた。次はきっとうまくいく、次はきっとうまくいく、次はきっとうまくいく・・・僕は何度自分で自分を騙して、追い込んで、心の傷をえぐり続けて来たんだろう。ダメージは確実に蓄積しているようだ。おそらく僕は今、疲れきっている。

 思うんだよな。たとえば人生の全てを野球に捧げて、全ての使える時間を練習に当てたとして、それでもプロになれない人がいる。それとおんなじだよな、って。頑張っても駄目なことは残念ながらあって、僕の場合、それが恋愛だった、っていうことなのかなって。でもこう考えると、少しだけしんどさが無くなるんだ。仕方ねえか、って気楽になれるんだ。

 とか言ってすぐに、次はきっとうまくいく、って自分に言い聞かせて、またやらかすんだろう。ふう。まあ歌詞には困らないから、いっか。

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おしぼりを巻き寿司のイメージで食った

いつだって”僕ら”の味方、忘れらんねえよ。
「恋や仕事や生活に正々堂々勝負して、負け続ける人たちを全肯定したい」という思いで歌い続けてるロックバンド。
そんな“忘れ”のボーカル、ギターの柴田隆浩が、3年半ぶりにエッセイを書くことに!メロディーはもちろんだが、柴田の書く言葉に、ヤラレル人多数。
“二軍”の気持ちを誰よりもわかってくれる柴田の連載。

バックナンバー

忘れらんねえよ柴田隆浩

忘れらんねえよのボーカルギター。
1981年生まれの36歳。熊本県出身。
ツイッターはこちらから。

忘れらんねえよ
2008年結成。どうしようもない言葉を、甘いメロディに乗せて轟音で鳴らす。
2017年4月に、自身初の日比谷野外音楽堂ワンマンをソールドアウト。
2018年2月にベース梅津拓也の脱退を発表、来たる5月1日に梅津卒業ワンマン「サンキュー梅ックス」をZepp Tokyoにて開催する。
忘れらんねえよ公式HP

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