およそ8組に1組のカップルが抱えている、子どもができないという悩み。これまでは女性に原因があるとされがちだった。ところが、医師の石川智基氏によると、約半数にあたる48%は「男性に原因がある」のだという。
この衝撃的な事実を世に広めたのが、石川医師の著書『男性不妊症』だ。常識がガラリと変わる本書の一部を、抜粋してご紹介します。
誤った「やり方」が射精障害の原因に
また近年非常に増えてきたのが、射精障害です。特に膣内での射精障害を訴える方が多くおられます。いわゆる「中折れ」してしまう方には、EDに対する内服薬を試していただくのですが、それでも射精まで至らない方はよくおられます。
この射精障害においては、マスターベーションで射精ができても、膣内では射精できないケース(膣内射精不能)が半分以上を占めます。原因としては、誤ったマスターベーション(布団に強くこすりつけることなど)や性交に集中できないことが挙げられます。
海外でも問題になっています。日本では積極的に牡蠣エキス入りの漢方が用いられますが、効果抜群という方はあまりお見かけしません。結局は人工授精による治療が必要になってくることも多いです。
この射精障害に対しては時間をかけて夫婦そろって克服していくことが大事です。子供を早く欲しいという焦りは、ほとんどの場合いい結果にはつながりません。
「勃たない」ことを気にしすぎない
勃起不全に関しては、心理的なもので勃起しない場合がほとんどです。もちろん糖尿病などが原因で勃起しない場合もあります。最近では効果てきめんの内服薬が数種類出てきていますので、試されるのが一番効果的です。
それでも勃起しない場合、マスターベーションができるのであれば、それは人工授精の適応になり、妊娠は十分可能です。性行為となると勃起しないのだが、マスターベーションなら勃起するという方は少なくありません。
心理的な問題の場合、人工授精で妊娠・出産した後には、いつの間にかEDが治り、2人目以降は自然妊娠ができるようになる方も多いです。EDの原因は奥さまからのプレッシャーもあるのでしょう。「不妊ED」という単語もあるくらいです。
排卵日以外は勃起に全く問題はなく、普通に性交渉ができるのに、排卵日となるとEDになってしまう方も多くいらっしゃいます。特に女性側が不妊クリニックに通院されている場合は顕著です。気長に構えて、まず人工授精にトライされるのも一つの手だと思います。