◆人事部が悪い社員を社内調整=ブッ殺す!?◆シリーズ累計150万部「ニンジャスレイヤー」チームが描く衝撃の社内スパイアクション『オフィスハック』待望の4thシーズン! 舞台は東京・丸の内の巨大企業T社。人事部特殊部隊「四七ソ」の香田と奥野に今日も新たな社内調整指令がくだる。不正を働くオフィス内のクソ野郎どもをスタイリッシュかつアッパーに撃ち殺せ。テイルゲート! ショルダーサーフ! 禁断のオフィスハック技の数々を正義のために行使せよ!
◆16◆
踏み荒らされたデスクの上を、書類の紙吹雪が舞っていた。
おれの脳裏には、ONDO事件で取り逃がした時のサカグチの顔と、苦々しい敗北の味が蘇った。
あの時と同じだ。おれたちは、まんまと出し抜かれた。
襲撃を受け、機密ダンボールを奪われたのだ。
「高橋、今すぐ第一人事部に緊急調整案件の申請を。鉄輪は、今すぐ監視カメラのログで行方を追ってくれ。おれは念のため、ここで再襲撃に備える……!」
おれは粗悪な3Dプリント拳銃を握り、防弾パーティションを元通りに立て直していく。
他の部署は何も見なかったふりをし、机に戻って仕事を再開している。だが、パーティションの隙間や観葉植物の影から、おれたちを怯えた目つきで見ているのは明らかだ。
申し訳ない。
リレイアウト初日からこんな事じゃ、ますます誤解が深まるだけだ。隣部署との合同ランチ会なんてできっこない。社内のならず者部署を調整し、真面目に働いている社員を守るはずのおれたちが、周りを必要以上に恐れさせパフォーマンスを落とさせちまう。
「クソッタレ……」
おれは額を拳銃の背でコツコツと叩いた。3Dプリント拳銃にはまだ弾丸が残っている。室長の制止を聞かず、エレベーターホールに突っ込めば、足止めができたかもしれない。機密段ボールを奪い返せたかもしれない。今でもまだ遅くないかもしれない。
もしあの機密資料が、本当に奥野さんの手によるものだったとしたら、奥野さんはどんな顔をするだろう。そもそも何故、室長は奥野さんを連れて第一人事部に行ったのか。室長は奥野さんの過去についてどこまで知っているのか、どういう関係なのか。掛かってきた2本の内線のうち、どちらが本物の室長だったのか。本当にあの機密資料は単なる誤配だったのか。
何かが引っかかる。おれの思考はグルグルと回り、まったく冷静さを欠いてゆく。
「高橋、さっき受けた内線は、間違いなく室長に聞こえたか?」
「もちろん、100%室長の声に聞こえましたよ。アクセントとか……ニュアンスも含めて」
「そうか。なあ鉄輪、四七ソのメンバーでも欺けるくらいの成りすまし電話って聞いて、思い当たる能力はあるか?」
「超高度な成りすまし能力? そうね……」
鉄輪は室長に次いで一番オフィスハック能力者の種類に詳しい。鉄輪は監視システムに非常時権限でアクセスし、接続待ちの間に答えた。
「電話口ってことなら、スプーキー・スプーフィングか、マカフィーズ・フォールトかな。かなり珍しい能力だし、今は第一人事部にも第二人事部にもいないはず」
「能力者の外部コンサルが絡んでるのは、まず間違いないってことか」
「そうね。……ん? ちょっと待って、何これ」
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