◆人事部が悪い社員を社内調整=ブッ殺す!?◆シリーズ累計150万部「ニンジャスレイヤー」チームが描く衝撃の社内スパイアクション『オフィスハック』待望の4thシーズン! 舞台は東京・丸の内の巨大企業T社。人事部特殊部隊「四七ソ」の香田と奥野に今日も新たな社内調整指令がくだる。不正を働くオフィス内のクソ野郎どもをスタイリッシュかつアッパーに撃ち殺せ。テイルゲート! ショルダーサーフ! 禁断のオフィスハック技の数々を正義のために行使せよ!
◆20◆
『おいミカミ君! どうなってるんだ!? 四七ソだ! 人事部の犬が攻め込んできた!』
小会議室のモニタには、御子柴部長の顔が大写しになっていた。
ここはT社グループ第4ビル。快適な空調が施された39階の小会議室。ミカミはハーマンミラー製のチェアを限界までリクライニングさせ、会議机に足を乗せながら、御子柴の狼狽を眺めていた。
「え? 四七ソがもう? ちょっと早過ぎますね。そっちの手下が漏らしたんじゃないですか? ……まったく、トロいことやってるからですよ」
ミカミは薄笑いを浮かべて言った。御子柴側からこちらの顔は見えない。
『待て! 今何と言った!? 私をバカにしなかったか!? 私をナメるなよ!』
「ああ、いえいえ。とにかく、こっちも全力尽くしてますから。頑張って何とかその段ボールの中身を隠滅して下さいよ。そうしたら、その後のシンガポール移住は全て、僕の方で手配しますから」
『しかし隠滅ってきみ! こんな重い段ボールを抱えて、逃げ切れるわけないだろう!』
予め伝えられていた計画によれば、これから処理業者が御子柴らのアジトに向かい、この段ボールを引き取る予定であった。
生半可なシュレッダー切断では、再びオフィスハック能力で復元されてしまう。ゆえに、偽装処理業者を使って敷地外へと持ち出す手筈であった。
四七ソが来たからには、もはや受け渡しは不可能。
……だがこれも想定内ではある。
ミカミは少しも慌てず、コンサルティングを行った。
「緊急事態ですし、この際、もう何でもいいですよ。そうだな、燃やすとかどうです?」
『燃やす? なんだ、燃やせばいいのか!? ハハハハハハ! 簡単な仕事じゃないか!』
御子柴はおかしな目つきで笑い、躊躇なく、手元のブロックバッズに火をつけた。
側近の一人が「アッ」という間も無く、乾燥大麻はたちまち、赤い炎に包まれた。
『ハハハハハハハ! ハーハハハハハハハハ!』
御子柴は笑いながら、燃え盛るブロックバッズを機密段ボールの中に放り込んだ。
◆
「あー、あー、あー。燃やしちゃったよ本当に。人間追い詰められると、ほんと、何するかわかんないね。アハハハハハ」
ミカミは顎鬚を撫でながら、御子柴との通信を切った。
「素晴らしい!」
会議室の暗がりに立っていた男が、ミカミの後ろに歩み寄った。男の名は山﨑。第一人事部リレイアウト執行委員。年齢は五十代で、上品な口ひげをたくわえていた。
「これで私の首も、どうにかつながるな……!」
山﨑はハンカチで汗を拭うと、安堵の息を吐いた。
彼は第一人事部の「長老」の一人。社内リレイアウトの権限を使い、様々な機密資料に関して意図的な”紛失”を行ってきた。
T社人事部の灰色のキャビネットには、国会図書館をも凌駕するほどの書類が、電子化の順番を待ったまま大量に眠り続けている。それらの中から、リレイアウトのたびに、特定の重役にとって極めて不都合なデータだけを”紛失”、ないしは一時的に行方不明にさせて改竄させるのが、山﨑の役目であった。
この驚くべき背信行為は、ここ十年以上明るみに出ることなく、T社グループの暗がりで当たり前のように行われてきた。そして今回、致命的なミスを犯したのだ。
「それだけじゃありませんよ。このまま御子柴が調整されれば、今回のリレイアウト執行部の不手際もウヤムヤにできます」
ミカミは薄笑いを浮かべながら言った。
「どういうことだね!?」
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