◆◆人事部が悪い社員を社内調整=ブッ殺す!?◆シリーズ累計150万部「ニンジャスレイヤー」チームが描く衝撃の社内スパイアクション『オフィスハック』待望の4thシーズン! 舞台は東京・丸の内の巨大企業T社。人事部特殊部隊「四七ソ」の香田と奥野に今日も新たな社内調整指令がくだる。不正を働くオフィス内のクソ野郎どもをスタイリッシュかつアッパーに撃ち殺せ。テイルゲート! ショルダーサーフ! 禁断のオフィスハック技の数々を正義のために行使せよ!
◆25◆
「おつかれさまです、神嶌さん」
『ああ、おつかれちゃん。無事で何より。御子柴、どうなったの?』
「手帳を見せ、逮捕しました。申し訳ありません」
『ええ、逮捕ォ? あいつ、敷地外に出ちゃったってこと?』
「……申し訳ありません」
『ンンンンー、面倒くさいことになっちゃったなあ。……あ、でも、待てよ』
「何か、ありましたか」
『意外と、悪くないかもしれんぞ。俺、実は、最近の社内留置所も、あんまり信用してなかったんだよね。機密文書だって消されちゃうご時世でしょ。回り回って、御子柴を逮捕できたことが、いつかうちに有利に働いたりしてね』
「それは、あるかもしれません。……いや、あると思います」
『で、奥野さんはどうなの? 手帳見せちゃったんだっけ? 本業に何か支障は?』
「私の方としては、支障ありません。御子柴を大人しくさせるためにしか、手帳は見せておりませんから。しかし、不可抗力とはいえ、今回の再生書類の件もあります。私の行動を不審に思い始める方も、中にはいらっしゃるでしょう。皆さんにご迷惑をおかけするわけにはいきませんので、T社と四七ソのほうで支障があるならば、いつでも辞表を……」
『ああ、再生書類の件? あれなら、もう皆に説明しといたよ。ぶっちゃけ、意図的な社内文書紛失に第一人事部の長老が関わってる疑いアリ。その絡みで、俺が奥野さんだけに秘密で残業してもらって、破棄文書再生してもらってたんだ、ってね。でも確証がなかったら、まだ皆には秘密にしてた、メンゴメンゴ、ってね』
「それで、大丈夫ですか」
『大丈夫大丈夫! 俺が大丈夫って言ってんだから大丈夫だよ! なにくわぬ顔でオフィス戻っておいてよ』
「ありがとうございます」
『そもそも、奥野さんの気持ちとしたって、こんな中途半端なところで離れたくないでしょ?』
「はい、それはもちろん」
『ハハハ、ならいいじゃない! ああ、それとね、第一人事部の山﨑元室長が……。いや、この件はまあいいや。また今夜、安全な場所でサシで話そうか。さくら水産かどこか、取っておくよ』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ファオンファオンファオンファオンファオンファオン……。
パトカーのサイレン音が、ガラス窓越しに微かに聞こえてきた。
「なんだ珍しいな」「事件でもあった?」「3台くらい来てるよ」
おれたちはT社グループ第三社屋、新オフィススペースの全面窓から、それを見下ろしていた。
時刻は15時5分前。室長はまだ戻っていないが、少し早いおやつタイムが始まっていた。殺し屋みたいな防弾シャツは脱ぎ、いつもの服に着替えている。
「事件かな」「強盗とか?」「あそこ、いつもおれが使ってるコンビニだよ、怖いな……」
遠いのでよく見えないが、コンビニの近くにパトカーが止まり、項垂れた男がコンビニ店内から連行されていくのがわかった。
頭と手元はタオルで隠されている。おそらく手錠がかかっているのだろう。TVでよく見る光景だが、現実には初めてだ。
「昼日中の丸の内でも、こんな刑事ドラマみたいなこと、起こるんですね」
高橋がおれの気持ちを代弁するように言った。
「あ、奥野サン! おつかれさまデス!」アスカン君が言った。
見ると、奥野さんがデスクに戻ってきていた。
「お待たせしました。着替えに時間とりました」
奥野さんは礼儀正しく皆に一礼した。
「おつかれさまです、怪我ありませんでしたか?」
すでに調整活動終了の連絡は受けていたし、奥野さんのことだから心配はしていなかったが、それでも心配は心配だった。
「ええ、大丈夫です。ご心配おかけしました。単独行動になってしまって」
「とんでもない。それで、見つけたのは、本当に御子柴だったんですか?」
「はい。御子柴は逮捕されました」
「エッ?」「逮捕?」「調整ではなくて!?」
鉄輪も報告書作成の手を止め、素っ頓狂な声をあげた。
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