次の日は朝早く、私の運転で夫を空港まで送った。道中、昨日のことを話した。高校時代の親友が余命宣告をされていて、彼女から昔の仲間に会いたいと頼まれたこと。
「へえ、奈美にそういう友達いたんだ」
「え?」
「あんまり話さないじゃん。高校時代のこととか」
話を聞きながらも、夫の目は手にしたタブレットに向けられたままだ。
「まあ、でも力になってやれば」
「でも20年以上も会ってないし、連絡先も分からないのよ」
「ああ、女ってそんなだよね」
「え?」
「学校の時はすげー仲良くても、卒業したらもうそれっきり会わない、みたいな。意外と友情薄いんだよな」
この人はいつもこうだ。「女は」「男は」とすぐに決めつけたがる。確かに男と女は違うし、男女に特有の傾向はある。だけど、男も色々だし、女だって色々ある。その色々の部分を話したいのに、こうやって十把一絡(じっぱひとから)げに決めつけられると話す気が失せてしまう。
「そういうんじゃないの」
私はカチンときて、それきり話を打ち切った。
空港へ着くと、夫は車を降りるなり携帯をかけ、「これから向かいます。じゃあ現地で」と仕事モードになりきっていた。空港ロビーの入り口へそそくさと向かい、ちょっとだけ振り向いて手を振ると、あっけなく行ってしまった。
夫と入れ違いに、建物の中から制服の女子高生の一団がドヤドヤと出てきた。修学旅行帰りか、大きなスーツケースを転がし、お土産のビニールバッグを持った女子たちが、楽しそうにワーワーおしゃべりしながら歩いている。揃(そろ)いの制服を着て、みな同じように見える彼女たちだって、一人ひとり色々あるに違いないのだ。きっと、それぞれが同じようで違う思い出を、旅から持ち帰ってきたんだよね。
女子高生たちを見ていて、ふと思いついた。……学校へ行ってみよう。
※奈美はこれから仲間たちをどうやって探していくのか? 続きは『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(黒住光著)をぜひお手にとってお楽しみください。
SUNNY 強い気持ち・強い愛
笑おう、あの頃みたいに――。珠玉の90年代J-POPと超豪華キャスト陣の競演で贈る、最強の“笑って泣ける青春映画”。自分らしく生きるって、楽しんで生きるって、そういえば、こんな気持ちだったんだ……