捨てることは、生きること、捨てなければ、生きられない――。「断捨離」の考案者であるやましたひでこさんはそう言います。「捨てる」という一見、単純な行為がどうしてこれほどまでに難しいのか? なかなか実践できないのか? やましたさんによる『捨てる。~引き算する勇気~』から抜粋して考えます。
引き算をすることで「内在智センサー」を磨く
不要なモノや過剰な情報、わずらわしい人間関係に囲まれていると、あなたの思考、感覚、感性はどんどん鈍化していくばかり。
たとえば、あなたは昨日、何時にどんなものを食べたでしょうか?
人間の体は、心身ともに健康であれば、食べたいときに食べたいものを食べたいだけ食べても問題ありません。体のセンサーが正常に機能していると、体の欲するものと適切な量がわかります。
しかし、心身のどちらかに不調があると、センサーが正しく機能しません。
ストレスで食べ過ぎたり、お腹がいっぱいなのに残すともったいないと考え、無理に胃袋に詰め込んでしまいます。
食べ物自体に良し悪しがあるわけではありません。体に良いと言われるものでも、それだけを食べていると偏りが生まれます。
昼休み12時になれば空腹でないのにもかかわらず、定食屋さんに並ぶという習慣は、センサーの機能を鈍らせることがあります。
若いときにスマートな体型だったビジネスマンも、結婚をして30代、40代になると太る人が多くなります。多少、厳しい言い方をしますと、体のセンサーが機能していないからです。
自分の体を見れば、センサーが狂っていることは一目瞭然です。センサーが狂ったままで間違ったモノやコトを選択し続けると、身動きができなくなります。
こうしたセンサーを「内在智」と言います。断捨離は内在智を磨くメソッドでもあります。
難しいことではありません。このときも目に見えるモノから入ります。
デスクのまわりのゴミを1つ捨てるアクション、食べたくないときは食べないという決断が内在智を磨くことになります。
不要で過剰なモノ・コト・ヒトに囲まれ続けると、内在智センサーが鈍り、不快を不快として感じられなくなるのです。
外的な情報に頼らずに、自分の身体と心の声を聞く。
まずは、たった1つでもかまいませんので、周囲にあるモノと自分との関係を問い直し、よけいなモノを捨ててみてください。