素早く・正確な判断はビジネスの基本。とはいえ失敗は怖い…。外資系ファンドのトップたちはいかに巨額の案件の「GO!」を判断しているのか? デキるプロジェクトマネージャーに共通する3つの特徴を『フランスの悪魔に学んだ3秒仕事術』よりご紹介します。
プロジェクトの確度を検証するために情報を集めるとき、情報の質(情報の出所、精度)、量(網羅性、適合性)をチェックします。
もっとも効果的な行動を取るために、検討に深さと広さを求めるということです。
とはいえ、良いプロジェクトほど競合も厳しくなるので、このチェックに時間をかけ過ぎると機会を逸することになります。
多くのプロジェクトマネージャーは、質・量ともに80%の完成度を目指し、全体で64%(80%×80%)の確信が持てたらGOサインを出しています。
残りの36%の部分は、課題への対応力、問題解決能力によって乗り切るわけです。
しかし、力のあるプロジェクトマネージャーはもっと早く動き始めます。
もっとも重要な36%(60%×60%)を確信した時点でプロジェクトをスタートし、経験と勘と度胸で、残りの64%をコントロールします。
人に先んじて決断することで、希少な機会をものにしているのです。
ファンド会社トップのスコットランド人は、「36%GO、64%コントロール」の判断が抜群にできる人でした。資金調達が簡単ではなかった時期に、普通ではとても決断できないステージで、投資家から 多額の資金調達を実行させていました。
当時の環境では、「資金を得ること」が最重要な36%だとわかっていたのです。
実際、調達した資金の行先である不動産の購入(64%)がなかなかうまくいかず、眠れなかった夜もあったらしいですが、最後には帳尻を合わせ、巨額のファンド事業を立ち上げてしまいました。
彼や他のファンドのトップを見ていて、こうしたコントロールに長けたプロジェクトマネージャーの気質には、一定の傾向があることに気づきました。
1. ある種のスピード狂です。勝負どころは決して逃さず、他に先んじた決断をくだす能力があります。
2. 種々雑多な人間と広く付き合えます。怪しげなブローカーとも交友を簡単には断ちません。玉石混淆の情報のなかから、コントロールすべきリスクを嗅ぎ分ける力があります。
3. 興味のあるものしか見ません。投資案件の最重要な価値のある部分を見極めることに集中しています。
36%とか、64%などはすべて「感覚値」です。こういう話をすると、数字に強いアナリストは、「根拠は?」と鋭く詰め寄ってきます。
しかし、トップを張る人間は、数字は大枠のものがわかればよく、あとは感覚で判断することが多いようです。数字で表せないもののブレが、事業の行方を大きく左右することをわかっているからです。
この視点はプロジェクトを決定権者に説明するときに応用できます。
・プロジェクトの検証が質・量の点でどの程度進んでいるのか
・残りの部分をどのようなスケジュールでつぶしていくのか
・起こりうる課題はどのようなもので、どう対応していくのか
・スピードと確度から考えて、いつスタートするのがベストなのか
以上の点を押さえて話すことでプロジェクト確度への説得力がぐっと高まります。
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