「心から笑ったの、一体いつだっけ」「人で接することがすごくストレス」…。
理由ははっきりしないけど、心が疲れて気分も口角も下がりっぱなしの女性たちに向けて、ウェルネス研究所より毎日をヘルシーに過ごすためのヒントをご紹介します。
今回は、ラジオDJ・秀島史香さんに伺う、ポジティブになれるコミュニケーション術。
心と体にウェルネスを育てていくための133のアイデアを紹介した書籍『おつかれ女子のウェルネス手帳』にも登場いただいています。
(インタビュー・文/塚田優子)
ーーラジオやTVナレーションで流れてくる秀島さんの声に癒されています。
プライベートで落ち込んでしまった時など声に表れてしまうことはないですか?
秀島史香さん(以下、秀島): 先輩からの忘れられない言葉なんですけど、公私ともにお世話になっているLiLico(リリコ)さんが「沈んでる声は誰も聞きたくないないよね」とおっしゃってたんですよ。
これ、当たり前のことだけど、忘れがちなことなので、いつも強く意識してますね。聞いた人が嫌な気持ちになる話し方や声のトーンはラジオDJとして失格というだけでなく、ふだんのコミュニケーションでもそうですよね。
ーー会社や身近な人とのコミュニケーションで重要だと思うことは?
秀島:例えば、朝の挨拶ひとつとっても、私のモットーは「先手必勝」。挨拶で勝つ、というのも変かもしれませんが、とりあえず早ければ早いほど相手が気付いても気付かなくても、早く言うにこしたことはないと思ってます!
オフィスでも、初めて会った人でも、相手から挨拶をしてもらえるとまず安心しますよね。関心を持ってもらえていることがわかるというか。そして挨拶するときの声のトーンは、相手のテンションに合わせることが大切かな、と。自分が元気だとしても、周囲の人はそれぞれいろんな状況で、ハッピーじゃないタイミングもあったりしますし。
ーーシチュエーションによってトーンを変えるのですか?
秀島:深夜の時間帯のラジオであれば、一人で静かに聞いてる人や寝る前の人もいるので、なるべくしっとりしたトーンにしたりしますね。自分のテンションを出してしまえば、それは押し売りになってしまう。自己満足というか。挨拶って“架け橋を作ること”と思っているので、受け止めてもらうことがまずは重要なんじゃないかな。自分の言葉を相手にやさしく渡してみるイメージで。
ーー挨拶は架け橋! なるほど、納得できます。
秀島:たとえば、その日初めて会う人への挨拶するとき、「おはよう」をボールだとすると、小さい子どもとキャッチボールするときのようなゆるーい放物線を描く感じがいいのではないでしょうか。相手がどんなテンションかわからないので、受け取りやすい球を渡してみるイメージ。
もちろん、相手の状態やシチュエーションによって、速いストレートに変えたり、変化球にしてみたりすることでコミュニケ―ションが盛り上がる場合もあると思います。どんな球を投げる時も自分の気持ちだけでなく、相手の気持ちと状況をちゃんと考えることが重要。
子どもって、何の前置きもなくなく親や友人に自分の伝えたいことを一気に話すじゃないですか(笑)、でも大人のコミュニケーションであればウォームアップがあったほうが親切ですよね。
ーー人と会話を楽しむことが難しいと考える人も多いと思うのですが、
会話をうまく続ける、盛り上げるコツがあったら教えてください!
秀島:ラジオ番組でゲストと会話する際は、相手に喋っていただきたいので、意識して自分の口数を減らすようにしていますね。そうすると自然と相手が喋ってくれるんですよ。
お話の間に声のあいづちを入れすぎてしまうと話の腰を折ってしまうこともあるし、私たちの場合リスナーの方が耳障りに感じてしまうことも。
そんなとき、私がコミュニケーションの中で大切にしているのが、「表情あいづち」です。
ーーどんな表情あいづちですか?
秀島:「そのお話とても面白いです、もっと聞きたい!」といった感情を込めた、表情を使ったあいづちです。「へー」「そうなんだ!」「面白い!」というときはうなずいたり、目を大きく開けたり、疑問に思うことがあったら首を傾げてみたり。うなずきかたや首の傾げかたなど、たくさんのパターンができますよね。その表情で相手にリアクションしていくんです。「目は口ほどに物をいう」っていうじゃないですか。ぜひ今まで使っていなかった顔の筋力を使ってみてください。
リアクション豊かで話を聞いてくれる人だと話す方もうれしいし楽しいから、“この人ともう一度話がしたいな”と思うはず。表情あいづちが上手な人の周りには自然と人や情報が集まってくるし、人生得すると思いますよ。
ーー確かに、いつも人の笑顔に囲まれていたり、自然体なのに素敵なネットワークを持ってる人っていますよね。そんなコミュニケーション美人になるには?
秀島:相手に対してのリアクションも大切だと思いますが、自分から相手に飛び込む行動やひと言を出せるかどうかが決め手かもしれませんね。
たとえば、コートやマフラーを引きずってしまっている人を見たら、たとえ知らない人であっても「あ!ひきずってますよ!」と声をかけてあげるとか。そうすると、「ありがとうございます」って、見ず知らずの人とコミュニケーションが生まれる。この小さなお節介が巡り巡って自分に還ってきてくれたりするんですよね。
私も気づいたら小さいお節介をするようにしてますし、私自身もドジなので、知らない人のあたたかい言葉にしょっちゅう助けていただいています。
でも、この「知らない相手にかけるひと言」って、日ごろから意識していないと「かえって失礼かな?」と、なかなか出てこないんですよね。とくに若い頃は。
ーーお節介は実は他人への思いやりなのかもしれませんね。
秀島:小さな言葉がけが自然にできる”おばちゃん力”が高い人は、老若男女問わずきっとモテると思うんです。
こういうことが自然にできるような人が増えれば、いろんな場が風通しよく、居心地よくなっていくんじゃないかな。
「今日の洋服、素敵ですね」とか、すごく些細なことでも、相手にとったらものすごくうれしいひと言ってたくさんあるんですよね。“ステキ!”とか“気をつけて!”とか“私もそれ好き”といった相手への気持ちが自然に言葉で出るようなコミュニケーションって、その場の雰囲気をよくしてくれるし、いろいろ良い循環が生んでくれると思うんです。
(後編へ続きます)
[PROFILE]
秀島史香 (ひでしま・ふみか) ラジオDJ、ナレーター
1975年神奈川県出身。慶應ニューヨーク学院、慶應義塾大学法学部政治学科卒業、ラジオDJ、TV・CMのナレーション、絵本の読み聞かせ、通訳や字幕翻訳、コラムや音楽レビューといった執筆活動などで活躍中。
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Twitter: @tsubuyakifumika
Instagram: @hideshimafumika
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