幻冬舎新書の11月新刊は11点、30日発売予定です。
『大阪的――「おもろいおばはん」は、こうしてつくられた』井上章一
定価(本体800円+税)
大阪と聞いて何を思いうかべるだろうか? 芸人顔負けのおばちゃん、アンチ巨人の熱狂的阪神ファン、“金もうけとど根性”の商売人……しかしそれらは東京のメディアが誇張し、大阪側も話を盛ってひろがった、つくられた大阪的イメージだ。「おもろいおばはん」の登場は予算のない在阪テレビ局が素人出演番組を安く量産した結果だし、阪神戦のテレビ中継がまだない一九六〇年代、甲子園球場は対巨人戦以外ガラガラだった。ドケチな印象はテレビドラマが植えつけたもので、「がめつい」は本来、大阪言葉ではなかった。多面的な視点から、紋切型の大阪像をくつがえす。
井上章一(いのうえしょういち)
1955年、京都府生まれ。京都大学人文科学研究所助手、国際日本文化研究センター助教授を経て、同教授。専門の建築史・意匠論のほか、風俗史、美人論、関西文化論など日本文化についてひろい分野にわたる発言で知られる。『京都ぎらい』(朝日新書)、『日本の醜さについて』(幻冬舎新書)など著書多数。
『人殺しの論理――凶悪殺人犯へのインタビュー』小野一光
定価(本体820円+税)
「腕に蚊がとまって血ぃ吸おうとしたらパシンて打つやろ。蚊も人も俺にとっては変わりない」(大牟田四人殺人事件・北村孝紘)、「私ねえ、死ぬときはアホになって死にたいと思ってんのよ」(近畿連続青酸死事件・筧千佐子)。世間を震撼させた凶悪殺人犯と対話し、その衝動や思考を聞き出してきた著者。一見普通の人と変わらない彼らだが、口をつく論理は常軌を逸している。残虐で自己中心的、凶暴で狡猾、だが人の懐に入り込むのが異常に上手い。彼らの放つ独特な臭気を探り続けた衝撃の取材録。
小野一光(おのいっこう)
1966年、福岡県生まれ。雑誌編集者、雑誌記者を経てフリーライターに。「戦場から風俗まで」をテーマに数々の殺人事件、アフガニスタン内戦、東日本大震災などを取材し、週刊誌や月刊誌を中心に執筆。『全告白 後妻業の女 「近畿連続青酸死事件」筧千佐子が語ったこと』(小学館)、『新版 家族喰い 尼崎連続変死事件の真相』(文春文庫)、『震災風俗嬢』(太田出版)、『殺人犯との対話』(文藝春秋)など著書多数。
『英語が上手くなりたければ恋愛するに限る――究極のコミュニケーション181のフレーズ』キャサリン・A・クラフト著 里中哲彦編訳
定価(本体780円+税)
基礎英語よりビジネス英語より確実に語学が上達する方法、それは英語を母語とする恋人を持つことだといわれる。自分の気持ちや願望を正確に相手に伝えたいという思いこそが、言語のスピード・ラーニングにつながるからである。実際に恋人を作らなくとも、本書が紹介する出会いのフレーズや一連のコミュニケーション英会話が自然に口をついて出れば、日常やビジネス・シーンに応用可能な英語力が必ず身につく。「目からウロコ」の画期的な英語学習本。
キャサリン・A・クラフト
アメリカ・ミシガン州生まれ。オハイオ州で育つ。ボーリング・グリーン州立大学(BGSU)卒。南山大学の交換留学生として来日。現在、オンラインマガジン「ET PEOPLE! 」を発行するかたわら、通訳、翻訳家としても活躍。また、名古屋市立大学(NCU)、河合塾でも講師をつとめる。おもな著書に、『日本人の9割が間違える英語表現100』『日本人の9割が知らない英語の常識181』(ともにちくま新書)、『世界と話そう! おもてなし英語』(王様文庫)、『その英語、ちょっとカタすぎます! 』(DHC)などがある。
『男の不作法』内館牧子
定価(本体780円+税)
本人はごく普通に取った行動が、他人を不愉快な気持ちにさせることがある。上司の前では低姿勢だが部下には横柄な男、忖度し過ぎて自分の意見をはっきりと言わない男、もはや自分の時代ではないのに後進に道を譲らない男など。それらは本人の価値を大きく下げる行為で、いつしか取り返しがつかない事態を招く。本書で紹介するのは、著者の経験や、多くの男女から聞き集めた不作法譚をもとに、知らないと致命傷になる男性ならではの不作法の数々。
内館牧子(うちだてまきこ)
1948年秋田県生まれ。脚本家。武蔵野美術大学卒業。東北大学大学院修士課程修了。93年第一回橋田賞、2011年モンテカルロ・テレビ祭で三冠を受賞。2000年より女性初の横綱審議委員会審議委員に就任し、10年に任期満了により退任。11年四月東日本大震災復興構想会議委員に就任。他の著書に『義務と演技』『エイジハラスメント』『十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞』『終わった人』『すぐ死ぬんだから』など。
『女の不作法』内館牧子
定価(本体800円+税)
男女とも共通して言えることだが、不作法の多くは本人が無自覚である。食事会に飛び入りで人を連れてきたり、聞く耳を持たず話の腰を折ったりと、本人に悪気はないにせよ、他人を不愉快にさせる。そのため、「あの人はそういう人」と密かに不作法者のレッテルを貼られる事も。これは誰も注意してくれず、長い人生において失うものも多く、非常に損である。本書で紹介するのは、著者自身の失敗や経験、多くの男女から聞き集めた話をもとに、気づいておきたい女性ならではの不作法の数々。
内館牧子(うちだてまきこ)
1948年秋田県生まれ。脚本家。武蔵野美術大学卒業。東北大学大学院修士課程修了。93年第一回橋田賞、2011年モンテカルロ・テレビ祭で三冠を受賞。2000年より女性初の横綱審議委員会審議委員に就任し、10年に任期満了により退任。11年四月東日本大震災復興構想会議委員に就任。他の著書に『義務と演技』『エイジハラスメント』『十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞』『終わった人』『すぐ死ぬんだから』など。
『平成精神史――天皇・災害・ナショナリズム』片山杜秀
定価(本体900円+税)
度重なる自然災害によって国土は破壊され、資本主義の行き詰まりにより、国民はもはや経済成長の恩恵を享受できない。何のヴィジョンもない政治家が、己の利益のためだけに結託し、浅薄なナショナリズムを喧伝する――「平らかに成る」からは程遠かった平成を、今上天皇は自らのご意志によって終わらせた。この30年間に蔓延した、ニヒリズム、刹那主義という精神的退廃を、日本人は次の時代に乗り越えることができるのか。博覧強記の思想家が、政治・経済・社会・文化を縦横無尽に論じ切った平成論の決定版。
片山杜秀(かたやまもりひで)
1963年、宮城県生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。思想史家、音楽評論家。慶應義塾大学法学部教授。専攻は近代政治思想史、政治文化論。『音盤考現学』『音盤博物誌』(ともにアルテスパブリッシング、吉田秀和賞とサントリー学芸賞受賞)、『未完のファシズム』(新潮選書、司馬遼太郎賞受賞)、『「五箇条の誓文」で解く日本史』(NHK出版新書)、『平成史』(佐藤優氏との共著、小学館)など著書多数
『皇室入門――制度・歴史・元号・宮内庁・施設・祭祀・陵墓・皇位継承問題まで』椎谷哲夫
定価(本体900円+税)
平成31年4月30日をもって今上天皇は退かれ上皇に、皇后陛下は上皇后に就かれる。翌5月1日に皇太子殿下が第126代天皇として即位される。江戸時代の光格天皇以来202年ぶりとなる今回の譲位を前に、世界でも類を見ない極めて永い歴史を持つ皇室の制度から元号まで、常識として知っておきたい基本を紹介。天皇のお務め、宮内庁の役割、皇室警備の実態、宮中祭祀や陵墓、そして皇位継承問題の論点まで、硬軟織り交ぜて幅広く網羅する、元宮内庁担当記者による入門書決定版。
椎谷哲夫(しいたに てつお)
一九五五年宮崎県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京新聞(中日新聞東京本社)入社。編集局社会部で警視庁、宮内庁、旧運輸省を担当。宮内庁では五年余にわたり昭和天皇崩御や皇太子ご成婚などを取材。休職して米国コロラド州の地方紙でインターン記者研修後、警視庁キャップ、社会部デスク、警察庁を担当。四〇代で早大大学院社会科学研究科修士課程修了。総務局、販売局勤務を経て、現在関連会社役員。著書に『敬宮愛子さまご誕生』がある。
『『君たちはどう生きるか』集中講義――こう読めば100倍おもしろい』浅羽通明
定価(本体840円+税)
大ベストセラー、マンガ版『君たちはどう生きるか』は、原作の凄みを全て削ぎ落としてしまった! かの名著は、友を裏切った少年を諭す道徳の教科書でも単純な反戦の書でもない。美少女ヒロインを陶酔させる戦争賛美の哲学が、マルクス主義と激突する現代思想対決? 暴力支配を倒す政治ドラマ? 丸山眞男も池上彰も誤読した原作者・吉野源三郎の「仕掛け」と裏メッセージを読み解いたとき、説教臭い古典は、いじめの解決、ポピュリズムの怖さまでを甘酸っぱい初恋に包んで訴えた現代エンターテイメントとして甦る。
浅羽通明(あさばみちあき)
1959年、神奈川県生まれ。「みえない大学本舗」主宰。著述業。81年、早稲田大学法学部卒業。著書に、『ニセ学生マニュアル』三部作(徳間書店)、『大学で何を学ぶか』(幻冬舎文庫)、『右翼と左翼』(幻冬舎新書)、『ナショナリズム』『アナーキズム』『「反戦・脱原発リベラル」はなぜ敗北するのか』(すべてちくま新書)、『教養論ノート』(リーダーズノート新書)、『思想家志願』『天皇・反戦・日本』『昭和三十年代主義』(すべて幻冬舎)、『野望としての教養』(時事通信社)、『教養としてのロースクール小論文』(早稲田経営出版)、『澁澤龍彦の時代』(青弓社)、『時間ループ物語論』(洋泉社)等がある。
『怖い短歌』倉阪鬼一郎
定価(本体780円+税)
かつて『怖い俳句』で「俳句が世界最恐の文芸形式だ」と書いた。なのに俳句より怖さで劣る『怖い短歌』を編むのかという声が聞こえる。たしかに瞬間、思わずぞくっとする感じでは俳句にかなわないかもしれないが、言葉数が多くより構築的な短歌ならではの怖さが如実にある。総収録短歌593首(見出しの短歌136首)を、「怖ろしい風景」「向こうから来るもの」「死の影」「変容する世界」「日常に潜むもの」など9つの章で構成し、「怖さ」という見えない塔をぐるぐると逍遥(しょうよう・そぞろ歩き)するかのような奇想の著。
倉阪鬼一郎 くらさかきいちろう
1960年三重県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。作家・俳人・翻訳家。『地底の鰐、天上の蛇』でデビュー。『赤い額縁』(幻冬舎)を刊行後、ミステリー、ホラー、幻想小説、時代小説など多彩な作品を精力的に発表する。句集は『アンドロイド情歌』(マイブックル)、『魑魅』『悪魔の句集』(ともに邑書林)、『怪奇館』(弘栄堂書店)の四冊。第四回攝津幸彦記念賞優秀賞受賞。現代俳句協会会員。短歌には長いブランクを経て復帰、約30年ぶりの第二短歌集『世界の終わり/始まり』(書肆侃侃房)を発表。ほかに『怖い俳句』『元気が出る俳句』『田舎の事件』『活字狂想曲』『白い館の惨劇』(いずれも幻冬舎)など著書多数。
『《唯識》で出会う未知の自分――仏教的こころの領域入門』横山紘一
定価(本体780円+税)
「心はどこにある?」「自分って、何?」「死んだらどこに行く?」――現代人は、さまざまなギモンに対してすぐに答えを出したがるが、科学の知識を駆使しても解答の出ないことは多い。そんなときに、考えるヒントをくれるのが哲学だ。中でも、仏教哲学の基本とされる《唯識》を学ぶと、「すべての物事をありのままに受け入れる」力がつく。しかし唯識は難解だ。そこで著者は、プラトン、ニーチェ、老子など世界の哲学者の易しい言葉も引用、比較することで、唯識の特徴をわかりやすく解説。高校での講義録を再編集した、仏教思想の入門書。
横山紘一(よこやまこういつ)
1940年、福岡県生まれ。仏教学者。東京大学農学部水産学科卒業後、文学部印度哲学科へ転部、東京大学大学院印度哲学博士課程修了。東京大学文学部助手、文化庁宗務課専門職、立教大学文学部教授を経て、現在は、立教大学名誉教授、正眼短期大学特任教授。大乗仏教・第二期の「唯識」思想を研究。趣味は武道(鹿島神流師範)。著書に、『唯識とは何か』(春秋社)、『唯識という生き方』『仏教思想へのいざない』(ともに大法輪閣)、『やさしい唯識』『唯識に生きる』(ともにNHK出版)、『十牛図入門』『阿頼耶識の発見』(ともに幻冬舎新書)、『唯識の思想』(講談社学術文庫)ほか多数。『唯識 仏教辞典』の編纂も手がける。
『解脱寸前――究極の悟りへの道』小池龍之介
定価(本体780円+税)
嘘だらけの私。隙あらば自慢する私。怒ってばかりの私。己の内面に目を向けたとき見えてくるのは、そんな醜い私ばかり。でも、そんな「私」というものは、そもそも存在しないのです――その真理に至った著者は、仕事を捨て、住所を捨て、外界との連絡を絶ち、二五〇〇年前のインドの修行僧と同じ、野宿の瞑想生活に旅立った。すべての煩悩を滅却した究極の悟り、すなわち「解脱」を目指して。10年以上におよぶ修行の日々から得た気づきと、さらに深い修行に入る覚悟を記した、「小池龍之介」最後の書。
小池龍之介(こいけりゅうのすけ)
1978年生まれ。出家名は空朴。東京大学教養学部卒業。月読寺(神奈川県鎌倉市)住職と執筆業を辞し、瞑想修行に専念している。『しない生活』(幻冬舎新書)、『沈黙入門』『もう、怒らない』『坊主失格』『いま、死んでもいいように』(いずれも幻冬舎文庫)、『運命とうまく付き合うレッスン』(清流出版)など著書多数。
幻冬舎新書・これから出る本
幻冬舎新書は、2カ月に1回、奇数月の30日発売です。このコーナーでは、刊行を先取りして、ラインナップや読みどころをご紹介します。
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- 2023年6月28日発売の幻冬舎新書
- 2023年5月31日発売の幻冬舎新書
- 2023年3月29日発売の幻冬舎新書
- 2023年1月20日発売の幻冬舎新書
- 2023年1月4日発売の幻冬舎新書
- 2022年12月14日発売の幻冬舎新書
- 2022年11月30日発売の幻冬舎新書
- 2022年11月2日発売の幻冬舎新書
- 2022年9月発売の幻冬舎新書
- 2022年8月24日発売の幻冬舎新書
- 2022年7月27日発売の幻冬舎新書
- 2022年6月22日発売の幻冬舎新書
- 2022年5月25日発売の幻冬舎新書
- 2022年3月28日、30日発売の幻冬舎...
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