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眩しがりやが見た光

2018.12.03 公開 ポスト

明星マヒトゥ・ザ・ピーポー


  photography by Shiori Ikeno 

冬の朝、かじかむ指でアイフォンに触れ、顔のあたりにだけ温度のないうす光を浴びて、今日をはじめる準備にはいる。足の指先をまるめ毛布にしまいこみ、さてさてなんて言ってからが長い。

この熱くもなんともない光を発明したのが誰だかわからないが、いつまでも違和感が消えず、わたしは真の意味で光として認めていない。光熱費が安くなり、主婦の味方だかなんだか知らないが、このエジソンフォロワーが光と光のような何かを混同させた罪は重く、密かだが確かに極東の青年が一人、軽蔑しつづけている。

まずLEDなんていうスカした名前は90年代のJ-POPのバンド名のようで、調子に乗りすぎている。電気ならば電気らしく厳かな名前こそがふさわしい。例えるなら「陽華〜ひか〜」だとか、「雷兎〜らいと〜」など、厳かで品のある名前をつけるべきだった。ELTみたいなLEDなど、エイベックスの闇の力にねじ伏せられてほしい。わたしはそれを強くのぞんでいる。ピース。

名前とは、それをイメージするときに一番最初に出会うもので、風向きを左右するから大切だということは十分皆、理解している。わたしの名前、マヒトゥ・ザ・ピーポーなど最底辺の極み、ふざけていて、ふしだらで堕落的で、「・」を二個使いしている箇所など、耐え難く、今も下唇に犬歯が刺さり血をにじますほどの苦痛の表情でタイプライトしている。

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マヒトゥ・ザ・ピーポー『ひかりぼっち

いつ、どの部分を遺書として 切り取ってくれても構わない。 あなたがあなた自身である限り、誰にも負けることはない。 オリジナルでもフェイクでもいい。ただわたしであればそれだけでいい。 GEZANマヒト、時代のフロントマン。眩しいだけじゃない光の記録。本連載に加え、書き下ろしを収録。(写真 佐内正史)

関連書籍

マヒトゥ・ザ・ピーポー『銀河で一番静かな革命』

海外に行ったことのない英会話講師のゆうき。長いあいだ新しい曲を作ることができないでいるミュージシャンの光太。父親のわからない子を産んだ自分を責める、シングルマザーのましろ。 決めるのはいつも自分じゃない誰か。孤独と鬱屈はいつも身近にあった。だから、こんな世界に未練なんてない、ずっとそう思っていたのに、あの「通達」ですべて変わってしまった。 タイムリミットが来る前に、私たちは、「答え」を探さなければならない――。 孤独で不器用な人々の輝きを切なく鮮やかに切り取る、ずっと忘れられない物語。アンダーグラウンド界の鬼才が放つ、珠玉のデビュー小説。

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眩しがりやが見た光

GEZAN・マヒトの見た、光、幸福、人生。

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マヒトゥ・ザ・ピーポー

ミュージシャン。2009年に大阪にて結成されたバンド・GEZANの作詞作曲を行いボーカルとして音楽活動開始。
2014年からは、完全手作りの投げ銭制野外フェス「全感覚祭」も主催。自由に境界をまたぎながらも個であることを貫くスタイルと、幅広い楽曲、独自の世界を打ち出す歌詞への評価は高く、日本のカルチャーシーンを牽引する。
著書『銀河で一番静かな革命』『ひかりぼっち』、絵本『みんなたいぽ』(絵:荒井良二)。映画監督作品『i ai』がある。

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