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脳に悪い7つの習慣

2018.12.12 公開 ポスト

脳科学でわかった「記憶力」をよくする意外な習慣林成之

集中力が高まる、物忘れがなくなる、独創的なアイデアが浮かぶようになる、頭が疲れにくくなる、コミュニケーションが得意になる……。「脳に悪い習慣」をやめるだけで、こうしたたくさんの嬉しい効果があることをご存知ですか? 43万部を突破した、脳医学者・林成之先生のベストセラー『脳に悪い7つの習慣』は、読むだけで頭の働きが倍増すると話題の一冊。そんな本書の中から、一部を抜粋してお届けします。

まずは「興味を持つ」こと

 記憶とはそもそも、忘れることが前提になっています。30代半ばを過ぎると、「アレがアレして……」など、言葉が出てこなくて「アレ」を連発する人が増えてくるようですが、脳が記憶するプロセスをきちんとふまえて取り組めば、「アレアレ」が減り、記憶をよりしっかりと残すことも可能になります。

iStock.com/ipopba

 記憶するプロセスをもう一度、確認しておきましょう。

 脳では、まずA10神経群で、情報に感情のレッテルがはられ、前頭前野で理解し、自己報酬神経群を介して海馬回・リンビックを包含する「ダイナミック・センターコア」において思考し、記憶が生まれるのでしたね。

 このプロセスは脳内では一瞬で起こるものですが、手順を正確にふまなければ、しっかり記憶することはできません。

 A10神経群がプラスのレッテルをはった情報や、自己報酬神経群によって「自分にとってうれしい」と判断された情報は、思考する過程に入る段階で、情報が強くインプットされます。このことから、「おもしろくない」「嫌いだ」「役に立たない」と思っていると、記憶するのが難しくなることがわかります。

 たとえば、資格試験などの勉強をしていて「こんな知識が実際に役に立つんだろうか」「細かい知識は、試験が終わったら忘れてもいいだろう。必要なときに調べれば足りるのだ」などと思ってしまうことはないでしょうか。

 暗記しなくてはならないことが多いときほど、「試験に出るのだからしかたない」という気持ちにもなりがちです。

 しかし、資格試験に出るということは、本来ならば「実際に現場で必要な知識をもっているかどうか」が問われているはずです。「試験のパス」ではなく、「その資格を使って、よりよい仕事をするのだ」という目的に立ち返れば、おのずと「自分にとって必要であり、役に立つから覚える」というスタンスが生まれてくるのです。

 みなさんは、すでに自己報酬神経群を働かせるためには、主体性が重要であることを認識しているはずです。記憶力を高めるには、「人に言われたから」ではなく「自分から」覚えようとしなければならないことは言うまでもありません。

 親が子どもにいくら「テストでいい点を取りなさい」と言っても、本人が「高得点を取ってやろう」と思わなければ、子どもの記憶力は発揮されません。自分から「覚えてやるぞ」と思うことが、学習記憶を機能させるのです。

 好きなこと、感動したこと、主体的に取り組んだこと、心を込めたことは、記憶に深く残せます。一方、「我慢して勉強している」という状態では、どんなにがんばっても、脳がもっている記憶力は働かないのです。

「記憶力が悪い」という方は、記憶のプロセスのスタート地点に立ち返ってみる必要があります。

 興味をもち、好きになり、おもしろいと思って取り組んでいますか?

 人の話を感動して聞いていますか?

 また、学習記憶には体験記憶が伴います。つまり、「どんな体験で記憶したか」が記憶の強さを左右するということです。好きな上司に教えられた、美人の先生に言われた、友達と一緒に感動したといった体験が、学習記憶を強くするのです。

 こうした観点から、勉強する際に環境にこだわることはとても大切であるといえます。記憶力を上げたいなら、我慢は禁物なのです。

「だいたい覚えた」はNG

 何かを暗記するときには、完璧を期さなければなりません。「だいたい覚えたから、もういいだろう」と中途半端にするのはNGです。

iStock.com/taka4332

 そもそも、「だいたいでいいや」というスタンスは、自己報酬神経群の働きを阻害します。記憶を強くするための思考がしっかり働かないため、「だいたい覚えた」ことは往々にして不正確で、本人が思う以上にあやふやなものになってしまうのです。

「完璧に覚えたかどうか」を確認するためには、「覚えたことを人にきちんと説明できるか」「3日経っても覚えたことを言えるか」を判断基準にしましょう。

 記憶は、理解し、思考するというプロセスを経て生まれるのです。完璧な記憶には、このプロセスが最後まで完了することが重要ですが、人に説明できるかどうかは、理解、思考、記憶の過程を追いながら確かめることになります。

 また、脳にとって重要でない記憶が3~4日ほどで消えてしまうことをふまえれば、時間を置いてチェックすることが必要といえます。

 完璧な記憶は、こうした手順をふんで、くり返すことによって可能になります。

 もちろん、くり返すときには、最初から記憶のプロセスをたどることが大切です。いつも興味を失わず、自主的に、新たな情報を重ねながら覚えていくのです。「また同じ話か」などと思って漫然とくり返しても、記憶はなかなか完璧になりません。「自分で再現できるかどうか」と問いかけ、「まだ完結していないのだ」と思いながらくり返すことが、記憶の質を高めてくれます。

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林成之

1939年富山県生まれ。日本大学医学部、同大学院医学研究科博士課程修了後、マイアミ大学医学部脳神経外科、同大学救命救急センターに留学。93年、日本大学医学部附属板橋病院救命救急センター部長に就任する。日本大学医学部教授、マイアミ大学脳神経外科生涯臨床教授を経て、2006年、日本大学総合科学研究科教授。08年、北京オリンピックの競泳日本代表チームに招かれ、「勝つための脳」=勝負脳の奥義について選手たちに講義を行い、結果に大きく貢献する。著書に『〈勝負脳〉を鍛える』(講談社現代新書)、『ビジネス〈勝負脳〉』(KKベストセラーズ)、『望みをかなえる脳』(サンマーク出版)、『思考の解体新書』(産經新聞出版)など多数。

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