増えるおうち時間を少しでも充実させたいもの。今日は、過去記事より、整理術のノウハウをご紹介します。
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整理収納アドバイザー、村上直子さんがお家の整理を通じてライフスタイルも変えていく…かもしれないこの連載。教師のAさん、会社員のKさんご夫婦と、こんど小学校に入学する長男のI君、まだ1歳のE君の4人家族のお宅整理。今回はそのまとめと、Aさんの声をご紹介します。
※それぞれの詳細は本連載のバックナンバーをご覧ください
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部屋の役割分担を明確に
I君とE君のおもちゃが家全体に散らばっているAさんのお宅。勉強する際にも集中力が切れる原因となりますし、家全体が子どもの遊び場になってしまうため大人の作業スペースがありません。
まずは部屋の役割をしっかりと分けて動線を整理し、それに合わせて大きな家具を移動させます。
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キッチン
動きの多いキッチンでは、なるべくスペースを広くとり、ストレスなく料理ができるようにしたいもの。しかし右手のラックの高い位置に電子レンジがあり、扉の開閉時に体をのけぞらせなければなりません。
シンク下の戸棚もラックとの距離が近いため、扉を開けきることが難しく、スペースが限られているため旦那さんやお子さんと一緒に作業するのも大変です。
キッチンスペースを狭くしていた原因のひとつであるこのラックをダイニングに移動。電子レンジや炊飯器などの調理家電もそちらへ。これにより、ご飯をよそう、お茶を入れる、作り置きの料理を温める、など、ちょっとした作業はテーブルのすぐ横でできるように。
モノの位置を変えて作業の動線を分けることで、食事の準備を家族で少しずつ分担できるようにしました。家族で声を掛け合って作業ができるので、コミュニケーションも自然と増えるのではないでしょうか。
ダイニング
テレビを中心に、ゲームやDVDを見る娯楽スペースと食事・くつろぎのスペースなど多くの役割が集中してしまっているダイニング。パソコンや書類などはあるものの、大人の作業がしにくい状態です。
テレビを思いきって洋室に移動し、部屋の役割と動線を整理することで時間のメリハリもつけやすいようにしました。
ゲームやDVD、子どものおもちゃも洋室に集約し、どこに子どもがいても目の届くダイニングは、食事に加えて大人の仕事と、小学校に入学するI君の勉強のスペースとしました。
Kさんの趣味である本や漫画は、ダイニング右手の棚にサイズ別に整理して並べています。スペースを限定することで、新しいものを買ったら読まなくなった本を処分する、というサイクルを作るようにします。
勉強がしやすいよう教材などもダイニングに置きましたが、色がごちゃごちゃしてしまいがちなのでA4サイズのファイルケースに入れて背を向けて収納します。色が統一されてすっきりした印象になりますし、背のほうに何が入っているかを書いておくことで中身がわかり、まとめて取り出せます。
クローゼット
絶妙なバランスで棚の上に置かれた箱の、さらに上にモノを積み上げていたり、蓋付きのボックスの手前にモノが置かれていたりと、パズルのようになったクローゼット。
収納とはただモノを詰め込むのではなく、モノがどこにあるかわかる、そして使える状態にするということ。収納家具のレイアウトを含めて見直しつつ、モノの定位置を明確にして、使うときもしまうときも迷わないようにしました。
奥で圧迫感のあった本棚はヨコ向きに。手の届きにくかったゾーンがなくなり、見た目もスッキリします。
大人のものは左側、子どものものは右側、とルールを決めて配置。服のトータルの量や、なにを持っているかもパッと把握できるようになるので、無駄な買い物を減らすことができます。
さらに子どもが自分で服を選び、戻すことがしやすいので、親の負担を減らし、自立心を育てることにもつながります。
水着などの季節モノや、取り出す頻度の低い思い出の品は箱に入れて棚の上に。箱は半透明のものを使い、ラベルも貼っておくことで外から中身がわかるようにしました。
洋室
おもちゃが棚に入りきっていない洋室。床だけでなく電子ピアノの椅子の上など、あらゆる場所にモノが置かれてしまっています。特に小物はうっかり目を離したスキにまだ1歳のE君が口に入れてしまわないかも心配です。
洋室は娯楽のスペースとし、家具も含めて移動しました。またタテの空間を活かして収納力をアップするとともに、おもちゃの定位置をしっかり作って子どもが自分から片付けをしたくなるようなシステムにしていきます。
本棚と電子ピアノは和室に移動。こちらの洋室にはダイニングにあったテレビやゲーム、家全体に散らばっていたおもちゃを集約しました。
色とりどりのおもちゃは、遊ぶときには楽しいのですが収納したときにごちゃごちゃに見えてしまいがち。洋室の手前側、ダイニングから見たときの死角になる位置に置くことで、玄関から入ってきたときにすっきりした印象になります。収納する棚や引き出しの色を白に統一することで、ごちゃごちゃ感をさらに軽減しました。
おもちゃのスペースをまとめることでなにがあるか、どのくらいの量を持っているかをひと目で把握できるように。新しいおもちゃを買うときはもう遊ばなくなったものを処分する、というルールを作り、モノが増えないようにします。
おもちゃの定位置を作り、床にモノを置かないようにすることで、遊んだら戻す、というサイクルに。特によく遊ぶものは下段に置いて、子どもでもなるべくしまいやすくしました。
和室
おもちゃを洋室に移動したぶん、和室は寝室と読書をするための部屋とするため、子どもの知育本や読み聞かせの本を中心に配置していきます。ゆっくりと寝転がれる中央のスペースは確保しつつ、昼間は教師のAさんが練習できるように、電子ピアノもこちらに移動しました。
読み聞かせの本や寝かしつけのためのお気に入りのぬいぐるみは、布団を敷いたときにすぐ手の届く位置に。
寝かしつけのときに簡単なメールチェックなどができるよう、Aさんのノートパソコンはこちらに置いています。またお風呂のあと、Aさんが髪をかわかしながら子どもとゆっくりできるように、ドライヤーも本棚の横に。
ノートパソコンは机、ドライヤーは洗面所、といった固定観念にとらわれず生活の動線に合った場所にモノを置いていきます。これによって取り出して片づけるのが楽になり、時間の短縮にもなります。
ドライヤーは袋に入れておくだけの簡単収納で、片づける負担がなるべくないようにしました。
今回の相談者・Aさんの声
生まれ変わったYさんのお部屋。Yさん自身はどう感じているのでしょうか。整理を行ってしばらく経ってから、改めてAさんにお話を伺いました。
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片付かないのをずっと家の狭さのせいにしてきましたが、改めて整理していただいて、こんなにスペースが使えるんだ!と目から鱗が落ちました。半分物置きのようになっていたスペースが収納として機能するようになり、家全体を使えるようになったという実感があります。
棚の上に置いたり、壁に掛けたりしていて圧迫感があったモノがなくなって、家自体も広く感じるようになりました。その割にどこにモノがあるのかがすぐわかるので、歩き回ることもなくなりました。
物の量を把握できるようになったので、もう持っているから、捨ててから買う、という流れができたのもよかったです。無駄な買い物も減りました!
これまでなんとなくつけていたテレビもきちんとメリハリをつけて見るようになり、時間の整理にもつながっています。
キッチンでは料理や洗い物などの作業を子どもや夫に頼みやすくなりました。夫もこれまで布団の上でしていたパソコン作業をテーブルでできるようになった、と喜んでいますし、子どもたちも毎日自分で服を選ぶようになりました。
仕事復帰しても職場のデスクも家の中も散らからずに済んでいるので、こうして選んでいただいたのが本当に良い転機だったんだなと思っています。収納で生活も人もホントに変わるんですね〜!
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