MTVは日本にもやって来た。MTVとライセンス契約をして、MTVのロゴを冠した番組が地上波の深夜で始まり、小林克也の「ベストヒットUSA」のようなアメリカのチャートを紹介する番組もあったし、インタビューとレコメンドで構成された番組もあった。だがいかんせんアメリカ発信のチャンネルなのだから、当然のようにアメリカの楽曲が多くなる。1980年代中盤、理由はわからないが、MVを凝りに凝って作っていたのはヨーロッパのミュージシャンたちだった。
そのヨーロッパのミュージシャンに比重を置いて紹介していた番組がTBS系列で始まった「The Popper’s MTV」だ。司会はピーター・バラカン、番組は楽曲をぶつ切りにするのではなく、MVの始まりの音のない部分から、最後の最後まで流すというスタイル。選曲もピーター・バラカンのセンスがテンコ盛りで、時には実験的なMVですら流れた。
その辺の経緯に関しては、こんなインタビュー(「時代に影響を与えたPopper’s MTV」HAIR CATALOG.JP )を見つけたので、読んでおいて欲しい。
多分、僕のMVを選ぶセンスに関しては、ピーターさんの影響を大きく受けている。1984年にこの番組が始まった時には、僕の家にはまだビデオデッキがなかったので、きっと生で観ていたのだろう。1985年の年末から1986年の夏にかけて友人からBetaのデッキを売ってもらった記憶があるので、1年以上、生で観続けたのだと思うと、相当な集中力を発揮していたに違いない。ピーターさんの一言一言を逃すまい、という感覚は今でも覚えている。
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MTVが教えてくれたこと
1981年8月1日午前0時に「観る音楽」の文化を作り出し、熱狂を巻き起こした音楽番組MTVは始まった。CM→MV(ミュージック・ビデオ)→映画監督という流れができ、あらゆる映像技術がMVで試されて行ったあの時代を振り返る。
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