アメリカに来る前、アメリカ人には白人、黒人、アジア系、ヒスパニックがいる、くらいのことしか理解していなかった。初めてのアメリカは、北カリフォルニアのスタンフォード大学だった。私が大学2年のときに参加した、大学生のための夏季短期留学制度のプログラムには、留学生の世話係として現役学生のボランティアたちが「ホスト」として相手をしてくれた。インド系の双子、白人のラストネームを持つ韓国人学生(白人家庭の養子として育ったと言っていた)、台湾人、フィリピン系、そして白人……想像以上に多様だった。
今思うとずいぶんプログレッシブなプログラムだったと思う。フルタイムで働くお母さんに話を聞いたり、同性愛者を受け入れる教会を訪ね、レズビアンのカップルに話を聞いたりもした。会った人たちはかなり高い確率でアジア人だった。スープキッチン(ホームレスに食事を提供する場所)で、給仕のボランティアをして、ホームレスの多くが精神疾患を患っていることや、女性のホームレスの大多数は、虐待から逃げ出してきた人たちだと知った。米軍の基地を訪ね、レクチャーをしてくれた金髪の米軍の広報官を見て、ぼんやりと「今回会ったなかで、一番、自分が想像していたに近いアメリカ人のイメージに近いなあ」と思った。アメリカは想像していたほど白くなかった。
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みんなウェルカム
NYで暮らすようになって20年。ブルックリン在住のフリーライターが今、考えていること。きわめて個人的なダイバーシティについての考察。