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2019.01.21 公開 ポスト

映画「クレイジー・リッチ!」現象佐久間裕美子

2018年8月に公開された「クレイジー・リッチ・エイジアンズ」(邦名「クレイジー・リッチ!」)という映画のタイトルを最初に目にしたとき。まあなんとステレオタイプな、と思った。そう思った理由は、ニューヨークに住んでいれば、異常なレベルのお金持ちのアジア人は目に入ってくる。日本にはほとんど存在しないタイプのお金持ちである。ニューヨーク・コレクションの中国席の最前列は、もうずいぶん前から、明らかにお金持ちで美しい人たちで埋まっていたのだから、メインストリーム娯楽の題材になることはなんら驚くべきことではなかった。ストーリーは、なんのことはない、アジアのスーパーリッチであるプリンスとアメリカ育ちの叩き上げ経済学者の女性の恋物語である。

ところが、アメリカのアジア人口が沸きに沸いた。劇場公開最初の週末、ボックスオフィスは北米も劇場だけで2500万ドルの興行成績を叩き出した。そもそも、ハリウッドには、マイノリティ・オンリーのキャストの映画は売れないという定説があった。オール黒人キャストの「ブラック・パンサー」が大成功を収めた後だっただけに、アジア人オンリーの映画の成功に、アジア系アメリカ社会が盛り上がるのも当然といえば当然のことだ。

アジア人映画が大ヒットした、それくらいの認識しか持たなかった私は完全に間違っていた。映画の成功は、新しい現象を生んだのである。

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佐久間裕美子『ピンヒールははかない』

NYブルックリンひとり暮らし。どこまでも走り続けたい。 ニューヨークで暮らすようになって、もうすぐ20年になる。 ここでは「シングル=不幸」と思わせるプレッシャーがない。 周りには、果敢に恋愛や別れを繰り返しながら、社会の中で生き生き と頑張っている女性が山ほどいる。一生懸命生きれば生きるほど、 人生は簡単ではないけれど、せっかくだったら、フルスロットルで めいっぱい生きたい。だから自分の足を減速させるピンヒールははかない。 大都会、シングルライフ、女と女と女の話。

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NYで暮らすようになって20年。ブルックリン在住のフリーライターが今、考えていること。きわめて個人的なダイバーシティについての考察。

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佐久間裕美子

1973年生まれ。ライター。慶應義塾大学を卒業後、イェール大学大学院で修士号を取得。98年からニューヨーク在住。新聞社のニューヨーク支局、出版社、通信社勤務を経て2003年に独立。アル・ゴア元アメリカ副大統領からウディ・アレン、ショーン・ペンまで、多数の有名人や知識人にインタビューした。翻訳書に『日本はこうしてオリンピックを勝ち取った! 世界を動かすプレゼン力』『テロリストの息子』、著書に『ヒップな生活革命』『ピンヒールははかない』がある。最新刊はトランプ時代のアメリカで書いた365日分の日記『My Little New York Times』。

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