女優、タレント、モデル……様々な人にメイクをしてきた大人気ヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロさんが、文字だけの美容本を刊行しました。その名も『美容中毒』。女性に生まれたからには、思いっきり美を楽しみ、追求してほしいという小田切さんの思いが込められた一冊です。メイクルームでたくさんの女性を観察するなかで発見した、本当の美しさとは? 内容を一部抜粋してお届けします。
いつだって、
時代を動かすのは女性。
女性はいつだって時代を動かしている。とくにメイクは、そんなエネルギーに満ち溢れていると思う。実際、細眉のアムラー風メイクといい、つけまつ毛にカラコンのギャルメイクといい、過去には一大社会的現象を巻き起こしていたわけで。
つまり、毎日何気なくしているメイクでも、一人一人が社会に影響を与えるパワーを持っているということ。自分だけの問題じゃない。鏡の前から、壮大な景色が広がっている。
トレンドという流れに身を任せる余裕や、自分を変えてみる勇気は、どんなときも大切なこと。そして、この軽やかさこそが、今もっとも必要とされている時代のニーズ。レベルの高い女性には、時代を感じる風が吹いている。
人は人、自分は自分。
幸せの形は色々。
人には色々な幸せの形がある。でも、今の世の中は、SNSやメディアにあたかも“幸せの極み”のようなものが溢れていて、みんなが同じ方向を向いてしまいがち。自分だけの幸せの追求を忘れてしまっている。
自分は本当はどんな人間なのか。どんな毎日を手にしたいのか。この2つを考えながら行動していくことが、目先だけではなくて、もっと先の大きな幸せを作っていくのだと思う。人ではなく、自分の心の声に従って。五感をフルに使いながら、魂の根付いた暮らしにシフトチェンジできたら、他人の様子なんてまったく気にならなくなるよ。
僕は30代にしてやっと、心からの幸せを感じることができた。幸せの価値観は自分自身で決めるもの。その内容がよくわからないままじゃ、幸せも不幸せもない。幸せの管理くらい自分でしてって感じ。他人基準な幸せのぬるま湯にぼーっと浸かってる人は、たぶん一生、幸せを実感できない。
メイクを頑張らない日。
仕事の顔、友達の顔、母の顔。厳しいことを言うようだけど、自分に似合うメイクの引き出しは多い方がいいし、見つけ出すのは女性としての義務だとも思う。美貌を保つことは体力作りにもよく似ていて、刻々と近づく老いのサインに対しては、基礎体力をつけて応じなければならない。そのためにメイクのスキルを磨くことが必要。じゃなきゃ、ただのオバさんの道を歩むだけ。
だけど、メイクを頑張らない日があってももちろんいい。いつものフルメイクの鎧が幸せを撥ね返してしまっているかもしれない。何より、力の抜けた雰囲気は、案外アンニュイで素敵に映ったりもして。
メイクを楽しむ余裕とのコントラスト。その心意気が、人生を心地よく軽やかにしてくれる。
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美容中毒
大人気ヘア&メイクアップアーティスト小田切ヒロさんが、女優、タレント、モデルや、カメラマン、スタイリスト、編集者などなど、様々な女性を観察してたどり着いた、本当の美しさ。今を生きるすべての女性に読んでほしい、毒と愛に溢れた“言葉の美容”。