女優、タレント、モデル……様々な人にメイクをしてきた大人気ヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロさんが、文字だけの美容本を刊行しました。その名も『美容中毒』。女性に生まれたからには、思いっきり美を楽しみ、追求してほしいという小田切さんの思いが込められた一冊です。メイクルームでたくさんの女性を観察するなかで発見した、本当の美しさとは? 内容を一部抜粋してお届けします。
マンネリに支配されたら終わり。
毎日のビューティケアの中で、お決まりのルーティンは確かに大切だけど、季節ごとにそれを更新していくという意識はもっと大切。本当は、1年は春夏秋冬の4分割ではなく365日分割。1日1日は当然異なり、温度や湿度からして違う。その微差を感じ取るために、研ぎ澄ませてほしいのが五感なの。
五感は、美しさを積み重ねるための大切な感性で、スキンケアにもメイクにもそれを反映できたら上級者。たとえば、ベースメイクなら、年中同じ肌なんて不粋なこと。だって、毎日なんとなく同じという守りの姿勢は、ときに人を老けさせてしまうから。だから、夏は涼やかなのある肌、冬は暖かな湿度高めの肌、というように着替えていくことで、雰囲気のある顔になれるの。
それを使い分けする知性に、女性の現役感が透けている。それが色気の正体。
人と違うことが不安なうちは
いつまでたっても輝けない。
周りと一緒なことで安心感を得る人、とくに女性に多い気がするの。でもね、そんな状況に身を置いていたら、代わり映えしない人生になるし、大切な個性を引き出すことなんて至難の業。
女子会に付き合いでつい顔を出してしまう人、みんなが持ってるから……とりものをなんとなく買ってしまう人。それじゃ、いつまでたっても百人のうちの一人のままだし、いつまでたっても輝けない。
自分だけがコンプレックスの塊だと思っていたら大間違い。誰にだってコンプレックスはあるし、コンプレックスは自分に対する立派な愛着。その数が多い人ほど、綺麗を引き出す術を知っていて、いつか必ず克服できる日がやってくるの。
人と同じでなくていい。自分だけの魅力を見つけ出すために、枠から少し外れてみて。五感で感じるあなただけの喜びを求めて。周りと違っていいし、違うところこそが魅力なの。それに気づけた今が、タフなマインドにシフトチェンジするとき。
お金で簡単に手にした美しさは、
もろく、メンタルを蝕む。
何かを得るためには何かを犠牲にしなければならない、というのは一般的な物事のセオリー。それは、美容においても当てはまる。お金で瞬時に手に入れた綺麗はもろいし、思考がどんどんエスカレートして、メンタルを蝕んでいく。
まつ毛エクステ、カラコン、プチ整形。フェイクな顔はやっぱり人工的で、本質的な美しさをどんどん遠ざけてしまう。しかも、やればやるほど「もっともっと!」とさらに深く依存するのが人間のエゴ。今の状態を受け入れながらあるものを生かす方が、時代の空気感とも合うし、思考としては健全なのに。人は楽を知るとその方向へ流されやすくなり、それがお金で手に入れたものであれば、欲望という名の澱みに侵され始める。
楽して手にしたものには、何の価値も無い。美も愛もお金もね。そして、アンバランスな美は、心まで崩壊させてしまうの。
美容中毒
大人気ヘア&メイクアップアーティスト小田切ヒロさんが、女優、タレント、モデルや、カメラマン、スタイリスト、編集者などなど、様々な女性を観察してたどり着いた、本当の美しさ。今を生きるすべての女性に読んでほしい、毒と愛に溢れた“言葉の美容”。