「ツイッター認証済みバッジ」が欲しくなる
ツイッター上で「フォローしている人数より、フォロワーの人数がはるかに多いアカウント」を作ることに成功した私には、新たに欲しいものがあった。「認証済みバッジ」だ。著名人や世間的に話題を集めている人、メディアなどの公式ツイッターには、偽アカウントの発生による混乱を防ぐために、ツイッター社が身元確認を行い、水色の丸いバッジをつけて「本人認証したアカウント」であることを証明している。
「公式って感じがして特別感あるし、かっこいい。これ欲しい、これくれ」
まるで『千欲しい、千くれ』と暗黒の欲望を肥大化させるカオナシ状態だ。だいたいが“公式”とは完全に真逆の私的欲望しかないくせに何を言ってるのって感じだが、認証済みバッジの取得方法を調べてみると、基準は明らかにされておらず、どうやら自薦、他薦ともに「ツイッター社が必要性を認めること」が条件らしい。なるほど。そもそも私のツイッターなんてなんの話題も集めていないし、誰も私の偽アカウントなど作っちゃいない。私にはわざわざ本人認証する必要性などないと自分でわかる。
「でも、ツイッターって外人の会社だし、何かの勘違いで認証されるかもしれないから、一応自薦してみようっと」
ツイッター本社はサンフランシスコの会社でも、日本のユーザーからの問い合わせは東京都中央区のツイッター・ジャパン株式会社がさばいているわけなのだが、とりあえず問い合わせフォームから「認証バッジ欲しいです!」という思いの丈を送信してみた。もちろん、なしのつぶてだった。
認証バッジがダメなら、翻訳者バッジだ!
あまりに無意味で生産性の欠片もないことにこだわれるのは、ひとえに「現実逃避のための依存」と、「そんなことしてる暇がある」という怠惰のなせるワザである。そして、その怠惰をひたすら楽しめるものに溢れ、そんな状態に「時代」「最先端」「情報網」「集合知」のようなもっともらしい意味を与えて、さらなる自己弁護・自己欺瞞の泥沼に引きずり込むのがネット空間の罠でもあるだろう。だらしのないエゴを許す際限のない自由空間は、どんどん私を“トンチンカンなツイッタラー”に変貌させてゆくのだった。
さて、あえなく「認証済みバッジ」の取得に挫折した私は、新たなバッジを発見した。著名人でもなく、フォロワーもさほど持たない人のなかに、水色の地球柄のバッジをつけている人がいるのだ。
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嘘、デマ、フェイク、陰謀論、巧妙なステマに情報規制……。混乱と不自由さが増すネット界に、泉美木蘭がバンザイ突撃。右往左往しながら“ほんとうらしきもの”を探す真っ向ルポ。
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