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僕らの哲学的対話 棋士と哲学者

2019.02.12 公開 ポスト

棋士は勝負のプレッシャーをどう乗り越えているのか?糸谷哲郎/戸谷洋志

(写真:iStock.com/Kavuto)

棋士と哲学者が人間をめぐる様々な問いについて語り合った話題作『僕らの哲学的対話 棋士と哲学者』(イースト・プレス)。戦いによって生計を立てている棋士は、勝負のプレッシャーをどう乗り越え、負けをどう受け止めるのか。第1章「勝負論」からの抜粋をお届けします。

*   *   *

負けることに慣れる。でも悔しさを忘れてはダメ

戸谷 練習には強いけど、本番には弱いという人がいますよね。糸谷さんは、勝負の緊張やプレッシャーをどう乗り越えているんですか。糸谷さんが実践されているメンタルトレーニングについて聞きたいんだけど。

糸谷 よく聞かれるんですが、負けることに慣れるしかないですね。負けているうちに鍛えられていく。もちろん、慣れすぎて悔しさを忘れてはダメですよ。

戸谷 悔しさは必要?

糸谷 勝負に勝つという点においては、多少あったほうがいいと思います。

戸谷 同じ負けでも、プラスに転化することができる人と、マイナスに転化してしまう人とに分かれますよね。負けをどう解釈するかという話だと思うんだけど、その違いってどこにあると思いますか。

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戸谷洋志・糸谷哲郎『僕らの哲学的対話 棋士と哲学者』

これは哲学者と棋士という異色顔合わせによる哲学的対話の記録です。棋士の糸谷哲郎さんは羽生善治さん他を下して竜王獲得、久々の20代タイトル保持者となった方です。また現役棋士として初めて国立大学へ進学し、大学院ではハイデガー研究で修士学位取得。当時同じ研究室で議論し合った哲学者の戸谷洋志さんは、ドイツの哲学者ハンス・ヨナスを研究する一方で、アカデミズムにこもることなく市民とのワークショップ「哲学カフェ」を各地で開催してきました。 例えばいまAI(人工知能)を搭載した将棋ソフトが驚異的な進化を遂げる中、現場の棋士はAIと人間の関係をどう捉えているのでしょうか。「人間」の自明性が問われる現在、1988年生まれの同世代の二人が勝負論や幸福論などを切り口に、「人間」を巡る様々な問いを考察していきます。

 

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僕らの哲学的対話 棋士と哲学者

AI論、勝負論、幸福論……人間をめぐるさまざまな問いを、同じ1988年生まれの棋士と哲学者が語り合った「知的異種格闘技」として話題の書『僕らの哲学的対話 棋士と哲学者』の読みどころをご紹介。

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糸谷哲郎

1988年、広島県広島市出身。将棋棋士。八段。順位戦A級。「関西若手四天王」の一角として注目を集め、2014年に羽生善治、森内俊之らを下して竜王獲得、久々の20代タイトル保持者となった。現役の棋士として初めて国立大学へ進学し、大阪大学文学部にて哲学・思想文化学を研究。大学院ではハイデガー及びヒューバート・ドレイファスを研究し修士学位を取得。著書に『現代将棋の思想 一手損角換わり編』(マイナビ)、共著に『糸谷&斎藤の現代将棋解体新書』(マイナビ)がある。

戸谷洋志

1988年、東京都世田谷区出身。哲学研究者。法政大学文学部哲学科卒業、大阪大学大学院文学研究科文化形態論専攻博士課程満期取得退学。現在は追手門学院大学の特任助教。現代ドイツ思想を中心にしながら、テクノロジーと社会の関係を研究。また、「哲学カフェ」を始めとした哲学の社会的実践にも取り組んでいる。第31回暁烏敏賞受賞。著書に『Jポップで考える哲学――自分を問い直すための15曲』(講談社)、『ハンス・ヨナスを読む』(堀之内出版)がある。

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