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子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まる !

2019.02.27 公開 ポスト

3歳までは「3つの本能」を鍛える林成之

早期教育は年々激化し、ついに「0歳児教育」まで出現する現代。ですが、子どもの才能を伸ばすのに一番重要なのは脳の発達に合わせた教育をすること。年齢ごとに子どもの脳の発達段階は変わるが、それに合わせて子どもをしつけ、教育すると、子どもの才能は驚異的に伸びる!『子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まる!』では年齢ごとにどのようにしつけ、教育すればいいのかを、著者の林成之さんが脳医学の知見からわかりやすく解説。そんな本書の中から、一部を抜粋してお届けします。

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脳の持つ本能は、「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」 

(写真:iStock.com/maroke)

「子どもを早くから教育すれば、頭のよい子が育つに違いない」――このように考え、幼い子どもに知識を詰め込もうと躍起になる方は少なくないようです。

子どものためにと一生懸命になるあまり、「隣の○○ちゃんに負けている」などとよその子と比較し、「どうしてできないの?」と責める――。これは、脳を育てるという観点では、大変よくない状況といえます。

そもそも、ものを覚えたり何かができるようになるのが早いかどうかは、脳の発達具合のよしあしとは関係ありません。子どものときに無理矢理詰め込んだ知識が、将来の脳の機能をよくするということもありません。

それどころか、先に見たように、3歳までは脳の神経回路が発達しておらず、無理な学習は脳への負担となってしまいがちなのです。さらに、お母さんに厳しく叱られたりすれば、自己保存の本能が働いて学習そのものを嫌いになってしまう可能性が非常に高くなります。「学ぶことはつらい、面白くない」と感じるような体験は、できるだけ避けなければなりません。

 

では、0~3歳の間、お母さんは子どもに何をしてあげればよいのでしょうか。

この時期の育脳のカギは、脳機能の基盤となる本能を磨くことです。大人になってから才能を十分に活かせる脳のベースづくりには、特に脳神経細胞が持つ最も基本的な本能を鍛えることがポイントになるのです。

脳神経細胞が持つ本能は、「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」の3つでしたね。

これらの本能が太古の昔から人間の脳に備わっていることは、人間の脳の産物である社会システムを見ればよくわかります。

人間の脳は、「生きたい」「知りたい」という本能から科学を生み出し、「知りたい」「仲間になりたい」という本能から文化を生み出し、「生きたい」「仲間になりたい」という本能から宗教を生み出しました。

現代では、「生きたい」という本能が家庭というシステムを、「知りたい」という本能が教育(学校)というシステムを、「仲間になりたい」という本能が会社というシステムをつくり、維持しています。

 

3歳までの子どもの脳にも、もちろん生まれながらに「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」という本能があるわけです。そして、これらの本能から、幼い子どもの脳は「競争したがる」「真似をしたがる、やりたがる」「お母さんやきょうだいなど身近な人と仲間になりたがる」という特徴を示します。

たとえば、子どもに「おもちゃを片づけなさい」と言ってもなかなかやらない場合、「どっちが早く片づけられるか競争しよう!」と言うと張り切って片づけ始めるものです。「走ろう」と声をかけてもぐずぐずしているとき、「あそこまで競争しよう」と持ちかけると、やる気を出して走り出したりします。これは、「生きたい」という本能が生む「競争したがる」という特徴による反応です。

また、子どもは過剰な知識の詰め込みは嫌がりますが、「ちょっとだけ新しいことを覚える」のは喜ぶものです。これは、「知りたい」という本能による「真似をしたがる、やりたがる」という特徴によります。

脳神経細胞の本能を鍛えるには、こうした「○○したがる」という特徴を上手に活かし、お母さんが「仲間」になりながら一緒に「競争」や「ちょっとだけ知る」という体験を積ませましょう。

この段階では「たくさんできるようになったか」「他人より上手にできるか」といったような成果を求めず、子どもがうれしくなるように気持ちを込めて会話をし、たくさんほめてあげることが大切です。

(写真:iStock.com/itakayuki)

0~3歳の子どもに母親が果たすべき役割とは

脳にとっては、物事に興味を持ち、好きになる力が非常に重要です。理解力や思考力、記憶力を存分に発揮するための最初のカギが「興味を持ち、好きになり、感動すること」ですから、こうした力を持っていることは、頭をよくするために絶対に必要な条件といえます。また、先に見たように「好きになる力」は同期発火の源でもあります。

人間の脳が「好きになる力」をつけるのに大きな役割を果たしているのが、お母さんという存在です。

生まれたばかりの赤ちゃんは、お母さんへの興味をきっかけにして脳の回路網を発達させていきます。「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」という本能が働き、お母さんという、自分を守りながらたくさんの愛情をかけてくれる存在に興味を持つことが、脳の発達の始まりなのです。

0~3歳は、お母さんからたくさんの愛情を受けて「好きになる力」を育てるための時期といっても過言ではありません。その意味で、この時期の子どもはできるだけお母さんと一緒に過ごし、お母さんから声をかけてもらったり抱いてもらったりすることが大切です。

 

また、周囲の人としっかり関係性を築ける子どもになるかどうかも、この時期のお母さんにかかっています。

人が心を伝え合うには、脳の「同期発火」の力を高めることが必要なのでしたね。同期発火の出発点は「好きになる力」ですが、さらに、「人を尊敬する心」がなくては他者と同期発火しあうことはできません。

人からまったく敬意を払われない人が、他人に敬意を持つことは難しいものです。尊敬の心というのは、自分が人から受けてみてこそ、その貴さを感じることができるともいえます。

ですから、子どもが尊敬する心を育てるには、お母さん自身が尊敬の気持ちを持って子どもと接することが必要です。「この子がいるから私は成長できる」と考え、子どもを一人の人間として尊敬することを忘れないでください。

 

3歳までに「心が伝わる脳」を育むことが、あらゆる社会生活のベースとなることはいうまでもありません。子どもが3歳になるまでの間に、お母さんが果たすべき役割は、非常に重要なのです。

林成之『子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まる! 脳を鍛える10の方法』

早期教育は年々激化し、ついに「0歳児教育」まで出現する有様。だが、子どもの才能を伸ばすのに一番重要なのは脳の発達に合わせた教育である。0歳~3歳は脳の細胞が増え続ける時期で、未熟な脳に負担をかける知識の詰め込みはNG。将来的に才能が伸びなくなる。3歳~7歳の不要な脳の細胞が減っていく時期は、悪い習慣をやめさせることが先決。7歳~10歳からは脳の回路が発達し始めるので、本格的に学習させるべきである。本書では年齢ごとにどのようにしつけ、教育すればいいのかを、脳医学の知見からわかりやすく解説。

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林成之

1939年富山県生まれ。日本大学医学部、同大学院医学研究科博士課程修了後、マイアミ大学医学部脳神経外科、同大学救命救急センターに留学。93年、日本大学医学部附属板橋病院救命救急センター部長に就任する。日本大学医学部教授、マイアミ大学脳神経外科生涯臨床教授を経て、2006年、日本大学総合科学研究科教授。08年、北京オリンピックの競泳日本代表チームに招かれ、「勝つための脳」=勝負脳の奥義について選手たちに講義を行い、結果に大きく貢献する。著書に『〈勝負脳〉を鍛える』(講談社現代新書)、『ビジネス〈勝負脳〉』(KKベストセラーズ)、『望みをかなえる脳』(サンマーク出版)、『思考の解体新書』(産經新聞出版)など多数。

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