早期教育は年々激化し、ついに「0歳児教育」まで出現する現代。ですが、子どもの才能を伸ばすのに一番重要なのは脳の発達に合わせた教育をすること。年齢ごとに子どもの脳の発達段階は変わるが、それに合わせて子どもをしつけ、教育すると、子どもの才能は驚異的に伸びる!『子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まる!』では年齢ごとにどのようにしつけ、教育すればいいのかを、著者の林成之さんが脳医学の知見からわかりやすく解説。そんな本書の中から、一部を抜粋してお届けします。
* * *
大事になのは「だいたい」ではなく「完璧」に説明できること
みなさんの中には、「これまで頑張って勉強してきたのに、その割に頭がよくなった気がしない」「努力したけれど、成績が伸びなかった」という人はいませんか?
よく考えると、不思議ですよね。勉強したからといって、誰もが優秀になるわけではありません。このように、いくら勉強しても頭がよくならない理由はどこにあるのでしょうか。
これは、脳のしくみを知るとよくわかります。ここまでご説明してきたことをもとに、理由を見ていきましょう。
脳には、常に新しい情報に反応したがるというクセがあります。「夢中になっておしゃべりしていたら、最初に何を言いたかったか忘れてしまった」ということが起きるのはこのためです。
ですから、一つのことに集中できず、勉強の途中で違うことを考えると、脳はそれまでに覚えたり考えたりしたことをすっぽり忘れてしまいます。
また、「だいたいできたから」と中途半端な状態で次の勉強に取りかかると、前に勉強したことは頭から消えていきます。
学んだことが新しい情報によってかき消されないようにするには、「完璧にできた」といえるまで繰り返す必要があります。「完璧に」とは、自分の言葉で説明できるまで、と考えてください。
しかし、学校や塾などでは、先を急ぐあまり「だいたいわかった、できた」という状態でよしとしてしまいがちです。子どもが「だいたいわかった」と言うときは、「じゃあ、自分の言葉で説明してごらん」と聞いてみましょう。
「わかったつもり」程度のことは新しい情報にかき消されてしまうので、説明できません。そして、こうした勉強をずっと繰り返していると、「いくら勉強してもちっとも成果が上がらない」という脳ができあがっていくわけです。
頭をよくするためにはどんなことを意識すべきか?
この「悪い習慣と脳のしくみ」の関係をもとに、東京都のとある予備校で実験を行ったことがあります。
その予備校では、50分の授業の後で10分休憩というサイクルで時間割を組んでいました。そこでまず、成績のよい子どもたちはそのままにして、成績がふるわない子どものクラスは授業を45分に短縮しました。そして、授業後の5分間を、その日学んだことを書く時間に充てたのです。
最初はどの子もまったく書けなかったのですが、「わかったつもりが書けない」という現実に気づいたことで、授業で「学んだことを説明できるまで完璧に理解しよう」という姿勢を持つようになりました。
そして、およそ半年経ったころには、きちんと授業で学んだことをまとめられるようになり、その習慣を継続すると、なんと成績がよいクラスの子どもたちを次々と追い抜いていったのです。
勉強はただやればよいというものではありません。「だいたいできた」を繰り返しても、いつまで経っても頭はよくならないのです。
勉強においては、脳のしくみにもとづけば、「気をそらさず集中して取り組むこと」「説明できるくらいまで完璧に理解・記憶すること」「学んだことを確認し、何度も繰り返すこと」が非常に重要といえます。