早期教育は年々激化し、ついに「0歳児教育」まで出現する現代。ですが、子どもの才能を伸ばすのに一番重要なのは脳の発達に合わせた教育をすること。年齢ごとに子どもの脳の発達段階は変わるが、それに合わせて子どもをしつけ、教育すると、子どもの才能は驚異的に伸びる!『子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まる!』では年齢ごとにどのようにしつけ、教育すればいいのかを、著者の林成之さんが脳医学の知見からわかりやすく解説。そんな本書の中から、一部を抜粋してお届けします。
* * *
よい質問を投げて子どもの才能を伸ばす
7~10歳以降の育脳は、自己報酬神経群の機能を活かすことがポイントとなります。
では、自主性・主体性を発揮させるためには、どうすればよいのでしょうか。
「指示・命令してはいけないなら、放任主義がよいのでは」――そんなふうに思う方が多いかもしれませんね。しかし、ただ放っておいてよいはずはありません。
子どもというのは、さまざまなシーンで判断を誤ったり、どうしてよいかわからずに迷ったりするものです。人生経験豊富な大人が、上手に導く必要があります。
自己報酬神経群の機能を高めつつ、うまく子どもを導くために、カギとなるのは、「よい質問を投げること」。
人生経験がまだ少なく、どうすればよいかがわからない子どもに対して、親はつい「こうしなさい」と言いたくなるでしょう。
しかし、自己報酬神経群の機能を高めるには、子どもが自分から「こうする、こうしたい」と決めることが重要です。そこで登場するのが、「よい質問」なのです。「こうしなさい」と言いたい内容を選択肢として示したうえで、「あなたはどうすればよいと思う?」と尋ね、子ども自身に選ばせるというステップを踏むのです。
たとえば、理科が苦手な子どもがいた場合、「もっと理科の勉強をしなさい」「わからなければ先生に質問しなさい」と言っても、子どもはなかなか腰を上げません。
そこで、「お母さんも理科は苦手だったのよ。でも、学校の先生にわからないことは何度でも質問に行っているうちに、得意科目になった経験があるの。あなたはどんなふうに取り組みたい?」などと尋ねるのです。
このような場合、子どもがどうすべきか、わかりやすく答えを示してしまってかまいません。あるいは、2つの方法を提案し、「どっちを選ぶ?」と聞いてもよいでしょう。
ここで大事なのは、子どもに自分の口で「自分もそうする!」「私ならこうする!」と言わせることにあります。
子ども自身にも解決策を考えさせたいなら、「もっとよい方法があるかもしれないから、明日までに考えてみてごらん。お母さんの子どもだから、きっとよい方法を思いつくよ」などと、子どもの自尊心を刺激するように持ちかけてみましょう。そして、子どもが頑張って考えてきたら、「さすがお母さんの子ね!」とほめちぎるのです。
このような育脳によって、自ら学ぶよい習慣を身につけることこそ、「本当に頭がよい脳」を育てることであるといえます。
10歳以降はどんどん勉強させる
脳が大人と同程度にまで発達したら、いよいよ勉強の適齢期。10歳以降は、脳はほとんど大人と同じになりますから、ガンガン勉強させてかまいません。そこで大切なのが、子どもに思う存分、勉強に励んでもらうための方法です。ポイントは、「子どもの自尊心を刺激すること」。
たとえば、子どもが頑張ったら「すごいね」「こんな勉強のしかたはあなたしかできないね」と頑張ったことに胸を張れるような言葉をかけましょう。
もう一つ、この時期に意識的に鍛えておきたいのが、物事に取り組むときの順番を決める力。物事の推移を考える際には、思考的空間認知能がかかわっています。子どもはどうしても目の前にある自分がやりたいことから手をつけてしまいがちですから、やはり親が上手に「手順を考える力」がつくようにサポートしてあげたいところです。
もちろん、「先に宿題をやりなさい」などと物事の順番を指示するのはNGです。それを言うと、子どもは「そうしようと思っていたのに!」と反発してしまいます。
子どもの意欲を削がないためには、「宿題とゲームとピアノ、どれを先にやる?」などと選択肢を示して自分で選ばせるようにしましょう。このとき、計画性が身につくよう、アドバイスを添えてもかまいません。
たとえば「いまから宿題をやるとちょうど夕食までに終わりそうだけど、宿題とゲームとピアノ、どれを先にやりたい?」というように尋ねるのです。
親にしてみると、いちいちこのような言い方をするのは面倒に感じるかもしれませんが、自己報酬神経群の働きを阻害しないよう、「子どもに自分で選ばせる」ことを心がけて言い方を工夫してください。