→「SNSにはまっていった私のイタい体験記(1)〜(4)」を初回から読む
「1万7000人!? こんなにもすごい数の人が、きみに注目しているのか! すごいじゃないか! 愛されているんだなあ!」
最初の頃は身のまわりでツイッターを利用している人はほとんどいなかったが、時を追うごとに増え続け、メディアでもたびたび話題にのぼるようになっていった。「最近ツイッターをはじめてみたんだ」という60代会社経営者の男性は、私がマニアックすぎる方法で無意味なフォロワーを増やした実態など知る由もなく、「1万7000人」という数にただただ驚愕するばかりだった。
「彼女は、泉美木蘭さん。大変な著名人なんだよ。ツイッターでは2万人ぐらいの人が彼女の発言に注目しているんだ」
「ほおお! それはそれは、お会いできて光栄です。最近の世情にはすっかり疎いものでして、なにも存じ上げず大変失礼をいたしました」
経営者仲間に誇大に紹介されて、過剰に丁重な挨拶までされてしまい、顔から火が出る思いだった。いち早く忘れてもらえるようにと、「名刺を切らしておりまして」とごまかした。同時に、この状態を恥ずかしく思えなくなったら、そのとき私は立派な詐欺師に変貌しているのではないかとも思った。
お金を出してでもフォロワーを買いたい人がいるなら、私の努力も商売にすればよかった
ツイッターのフォロワー数に威力を感じる人はやはり多く、特に企業などはイメージや「信頼性」に直結するという面(錯覚にすぎないと私は思うが)もあり、需要に応じてフォロワーを金で販売する業者も存在する。日本最大級とされるフォロワー・アカウント販売サイト『ツイッターズ』の商品メニューによると、「アニメ・写真アイコンの日本人フォロワー:2000人/価格11,000円、納期11日」「外国人フォロワー:300人/価格6000円、納期4日」(いずれも返品不可)。
外国人300人で6000円? 私、「レディ・ガガ商法(前回参照)」で少なくとも7000人、自力で外国人を増やしたんだから、単純計算で14万円ぐらいの仕事をしたってこと? ああ、あのトチ狂った努力をこういう商売に変換していれば、いまごろ“ツイッター成り上がり”としてかなり余裕のある生活を送っていたのでは……なんて薄っすら考えてしまう。
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オオカミ少女に気をつけろ!
嘘、デマ、フェイク、陰謀論、巧妙なステマに情報規制……。混乱と不自由さが増すネット界に、泉美木蘭がバンザイ突撃。右往左往しながら“ほんとうらしきもの”を探す真っ向ルポ。
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