生き方
真横に満月がある。その隣にテレビ塔がある。背景は大きな黒だ。それらが僕の斜め上にある。夏の風が、遠くの木の葉と遊んでいる。店内に視線を落とせば、大きなスピーカーからはジャズが流れている。
夏に、そんなテラス席にいた。
ふと考える。「隠れ家」という言葉が、一人歩きしはじめたのはいつからだろうと。
そしてそれが、良い意味で使われるようになったのはいつからだろうと。
隠れるという言葉には、なにか後ろめたさを感じるものだが、ことが飲食業になったとたん、洒落たイメージへと切り替わる。
隠れ家イタリアン。隠れ家割烹。隠れ家カフェ。数え上げればきりがない。
札幌に、かなり早い時期からこの「隠れ家」という言葉で形容されていた喫茶店がある。
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