アメリカに暮らすようになって10年経つ頃、自分はこの国のことをあまりに知らない、と思った。2000年の選挙のときにはアル・ゴアが勝つと思っていたのにジョージ・W・ブッシュが勝った。2004年も、ブッシュが勝った。ニューヨークの肌感覚では、驚くべきことだった。だから、ブッシュに票を投じる人のほうが多い場所を周ってみたいと思ったのだ。「アメリカを一周したい」といろんなところで言ってみたが、編集者たちからの反応は芳しくなかった。けれど2008年になって、現代写真家の父と異名を取るロバート・フランクの「アメリカンズ」の刊行50周年という節目に、アメリカを周るという企画ができることになった。冒険の相手には、フィリピン系アメリカ人の写真家グレース・ヴィラミルを選んだ。
ここから先は会員限定のコンテンツです
- 無料!
- 今すぐ会員登録して続きを読む
- 会員の方はログインして続きをお楽しみください ログイン
みんなウェルカムの記事をもっと読む
みんなウェルカム
NYで暮らすようになって20年。ブルックリン在住のフリーライターが今、考えていること。きわめて個人的なダイバーシティについての考察。