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トランプ時代の地政学

2019.03.08 公開 ポスト

トランプ大統領、最強の「敵」は金正恩委員長でなく身内だった杉本宏

(写真:ホワイトハウスのツイッターより)

2月27・28日に行われた2回目の米朝首脳会談。事実上の決裂に終わった理由をめぐり、「トランプ流」を批判する分析が多く出回っているが、それらは当たっているのか? 本当に何も成果はなかったのだろうか?

*  *  *

世界中の注目を集めた2回目の米朝首脳会談は、非核化をめぐって折り合えず、目に見える成果なく終わった。事実上の決裂と言っていいだろう。

なぜ、「取引(ディール)の達人」と自賛するトランプ大統領は、「信頼できる友人」の金正恩委員長との溝を埋めることができなかったのか。合意文書案まで用意されていたのに、手ぶらで帰国の途につかなければならなかった本当の理由は何か?

事務方による協議の積み上げを軽視し、首脳間の信頼関係に過度に依存する稚拙なトップ外交、アドバイザーや専門家の意見に耳を貸さない政権運営、強烈なエゴと自身の交渉力への過信……。

会談が終わった途端、こうした「トランプ流」がアダになったという解説が、日米の主要メディアでまことしやかに流れ始めた。発信源は、ワシントンで外交・安保のプロを自任するシンクタンクの専門家と、歴代政権の元幹部、新聞などの論説委員ら。俗に「外交エスタブリッシュメント」と呼ばれる非公式ネットワークを形成している専門家達だ。

はっきり言って、彼らの解説には違和感を覚える。

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杉本宏『ターゲテッド・キリング』

「対テロ戦争」という果てしない戦争が世界を覆う中、標的殺害(ターゲテッド・キリング)という非公然攻撃を米国は展開している。一種の「闇討ち」は、効率的ではあるが、米国政府に様々な法的・倫理的なジレンマを突きつける。米首脳たちの内紛と懊悩を通じ、21世紀の正義と戦争の行方を追う。

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トランプ時代の地政学

「世界の警察官を辞める」だけでは収まらず、いまや世界秩序の攪乱要因になりつつあるトランプ大統領のアメリカ。海外取材経験の豊富なジャーナリストであり、国際政治研究も続ける著者がトランプ大統領・アメリカの本音を読み解き、日本とのかかわりを考察する。

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杉本宏

ジャーナリスト。慶應義塾大学大学院修士課程修了。マサチューセッツ工科大(MIT)政治学部博士課程単位取得退学。防衛大学校非常勤講師を経て、朝日新聞社入社。政治部、外報部などを経て、ロサンゼルス、アトランタ、ワシントンに赴任。記者としての取材活動のかたわら、国際政治研究も続ける。著書に『ターゲテッド・キリング――標的殺害とアメリカの苦悩』(現代書館)がある。

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