朝、7時にホテルを出る。冬の匂いがする。肺の中いっぱいに冷たい空気を吸い込み、トラムの乗り場へと向かった。
いよいよ帰国。とはいえ、飛行機は夕方の便なので時間はある。パン屋さんでシナモンロールを買い、ジップロックに入れて日本に持ち帰る予定だ。
まずは、港近くの老舗のパン屋『エロマンガ』へ。店に入ると、小さいけれどカフェスペースもあった。シナモンロールとライ麦パンを持ち帰り用に買い、せっかくなので、コーヒーと一緒に、名物のピロシキを食べていくことに。
ピロシキは、まだほんのりと温かく、中はコロッケの具みたいだった。普通のコロッケが、ポテト9:ひき肉1だとすれば、エロマンガのピロシキの具は、ポテト1:ひき肉9の比率。ひき肉の中に、かすかにポテトを感じる。ヘルシンキでの食事は基本、どこも薄味だった。ここのピロシキもまた薄味で食べやすく、ただ、デカいのと、朝から揚げ物なのとでちょっと胃もたれ。
食べ終わるころ、日本人のカップルが入ってきた。互いに軽く挨拶。ガイドブックで見てきたんですよネ、という照れ隠しのような「おはようございます」である。
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仕事の打ち合わせ中、まったく違うことを考えてしまう。ひとり旅に出ても、相変わらず誰とも触れ合わない。無地の傘が欲しいのに、チェックの傘を買ってくる。〈やれやれ〉な大人に仕上がってきたけれど、人生について考えない日はない。そんな日々のアレコレ。
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