最大被災地の一つである石巻市で、僕は当初は炊き出しほか、物質的な支援を行っていた。だが、教育家の藤原和博先生の助言もあり、仙台在住で、僕がこちらに来るきっかけになった立花貴さんをリーダーに、地域の子供たちへの学習支援など、ソフト面の活動を行うことにした。
まずはゴールデンウィークに、子供たちを公民館や学校などで預かり、休校のために遅れている勉強を取り戻してもらおうという企画を練った。心身共に疲れている大人たちを、日中の間だけでも子供から解放するという意図もあった。がれき撤去や会社の再建などに奔走する大人にも、自分たちの時間が必要だろうと考えたのだ。
学校関係には何のツテもないので、飛び込みで小中学校に声をかけた。気仙沼から石巻までかなり広範囲にわたって、この支援企画を説明して回った。
しかしどこでも反応はイマイチ。主に学校長や教育委員会関係者に説明をしたのだが、どこの馬の骨とも分からない僕たちの話を、まともに聞いてくれる人は少なかった。
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移住サバイバル
東日本大震災を機に宮城県石巻市に移住した山本圭一さん。家なし、知り合いなし、文字通りゼロから始まったサバイバル生活の記録。