東日本大震災の取材を通して、福島県内の避難所を訪ねるなど現地の方々と交流が増えていった私(前回参照)は、「原発」という大問題に強い関心を持つようになっていた。原発作業の最前線施設や除染作業の様子、汚染土の管理所など現場を見てまわるなどし、東京に戻ると反原発デモの様子を取材したりした。取材を通じて震災ドキュメントを撮影していた映画監督の方と知り合い、映画の上映会を手伝ったりもした。
絡んでくる「ネトウヨさん」には当初、同情していたのだが…
そんな中、私は書いたブログや記事の宣伝、映画の告知なども含めてツイッターで震災関連の投稿をつづけていたが、つくづくストレスを感じるようになっていた。現地の取材で得た話や、現場の写真などを添えた「ちょっとした現場報告」は、「これは知るべき」という雰囲気でどんどんリツイートされて広まったりするのだが、原発に関する「考え」や政治に対する「意見」を書くと、どこの誰ともわからぬ人が、突然まったく意味不明な罵詈雑言を送りつけてくるのだ。
関心がなくて無視するとか、言い方が未熟だったので指摘するというのはわかるし、意見に対して違う意見を返すというのもとてもわかるが、「バカ発見www」だの「このブスwww」だのなんだのわけのわからぬ嘲笑が飛んでくる。どうやら「『脱原発』を言う女」がとにかく嫌いな人々がいるらしかった。
のちに「反民主党・反朝日新聞・反脱原発・嫌韓嫌中」などの“右翼的”思考パッケージがあり、それらをネット上で主張する「ネトウヨ」という人々がいると知った。「そんなネトネトしてウヨウヨと虫がわいてるみたいな気色悪いネーミングが存在するなんて、ネットの世界ってやっぱり不気味だな」と思ったが、自分もそのネットの世界にはまっている一人であり、レディ・ガガを使って「半ガガ・増フォロワー」(前々回参照)のみを考える「ネトガガ」の道を踏んでしまった後なので、最初は「ネトウヨさんって、なんだか淋しくて、誰かに相手してほしくてネット依存しているような、孤独でかわいそうな人なんだろうな」と同情する気持ちも半分あった。
芋づる式に発生するネトウヨに嫌気がさす
社会問題についてたびたび自分の考えを書いたり、自分が賛同できる意見のものをリツイートしたりするようになると、ネトウヨ的な誹謗中傷はどんどん増えていった。なかには、意見とは全く関係のない私のプライベートをほじくって嘲笑するものもあった。そしてやはり、ネトウヨはウヨウヨつるんでいるらしく、一人が絡んでくると、芋づる式にほかのネトウヨが絡んできたりもした。
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嘘、デマ、フェイク、陰謀論、巧妙なステマに情報規制……。混乱と不自由さが増すネット界に、泉美木蘭がバンザイ突撃。右往左往しながら“ほんとうらしきもの”を探す真っ向ルポ。
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