3月27日に発売されたビジネス人生論『やりたくないことはやらなくていい』(通称 #やりやら )。著者:板垣雄吾(レディオブック株式会社代表取締役)、装丁:前田高志(前田デザイン室 室長)、編集:片野貴司(幻冬舎)という、それまで交わることのなかった3人が偶然の出会いにより引き寄せられ、語り合うごとに影響しあい、今までにない書籍が誕生しました。先日、装丁の前田高志が主宰するオンラインサロン「前田デザイン室」で行われた3名の対談「#やりやら 作戦会議」の後編をお届けします。→前編はこちらから
produced by 前田デザイン室(司会・テキスト・編集:近藤弘潤、バナーデザイン:endo、編集:浜田綾)
人が一番心躍る瞬間は、他人の失敗談を聞いた時
── #やりやら には、板垣さんがこれまでに経験してきた失敗談が、包み隠さず記されています。ここまでさらけだすことができた理由は何でしょう?
板垣 「起業した時の失敗経験や借金の金額を言うのは、さすがにまずい」「かっこ悪い以前の問題」と周囲の人には言われていました。でも、よくよく考えると、人が一番心躍るのって、他人の失敗談を聞いた時ですよね(笑)。不謹慎かもしれないけど事実です。
失敗したことでも正直に語ってストーリーの起伏を出すほうが、客観的に見て面白いですからね。失敗からどうやって立ち上がったか、ここにストーリが生まれる。ギャップがないとストーリーも生まれない。
・バイト生活
— ゆうご®️新着Amazon1位「やりやら」by幻冬舎 (@yugo_itagaki) 2019年3月19日
・バンド活動
・借金5000万
・格闘家に弟子入り
・プロ格闘家になる
・軌道に乗ったが失敗
・iPhone事業を始める
・借金してECサイトを始める
やりたいことだけやって、29歳まで定職に就かずにいた僕が今では経営をしている。
今を全力で取り組めば勝手に前に進んでいるはずだ。
かつて借金を5000万円も抱えたことがあったけれど、僕は元気に生きて楽しく仕事をしています。起業した方から「借金100万円もあるんです」なんて相談を受けることがあるけれど、僕は「全然問題ない。余裕ですよ」と声をかけます。そして僕が借金5000万円を抱えて、今に至るまでの話をするんです。
自分と同じ境遇の人にとって、僕の話が彼を奮い立たせるきっかけになるかもしれない。こういう理由もあって、なんでも話すようにしています。
そのままの自分を発信することが、全部自分に帰ってくる
片野 前田さんも同じような考え方じゃないですか?
前田 そうですね、全く同じだなと思いながら聞いていました(笑)。失敗を語ることは、マイナスになるどころか、むしろプラスにしかならないんです。
会社を辞めた後に、10歳以上年下のある若者に出会ったんです。彼は失敗もノウハウも全部、出し惜しみなくさらけだしていました。それを見て嫌な気持ちがしなかったし、むしろ共感できました。だから真似してみようと思い、全てをさらけだし発信することに決めました。
例えば、転職活動に失敗した話をブログに書いたことがあります。僕からすれば、恥ずかしいことです。ところが、公開したあとダイレクトメッセージが何件か来たんです。「共感した」とか「自分も同じような悩みを抱えていた」とか。こんな感想いただけると思ってもみませんでした。
さらけ出した結果「この人はダメだ」と感じて離れる人とは、そもそも付き合う必要がないですからね。
失敗を話すことは、人間関係のフィルターになっているんです。
失敗を繰り返してきた人のさらけだした言葉は、この世の宝。
— まえだたかし/漫画マン (@DESIGN_NASU) 2019年3月20日
板垣さんは考え方が近いけど、板垣さんの考えに触れ、自分はまだまだフワフワしていたことがわかった。おれはもっと輝けると確信した。
|やりたくないことはやらなくていい|板垣雄吾 - 幻冬舎plus https://t.co/Jx2BEAhrRj
情報発信は鏡のようなもので、発信した内容と同じような人が集まってきます。何かおもしろいことやってたら、おもしろい人が来る。板垣さんや片野さんとの出会いなんてまさにそう。全部そのまま自分を発信することが、結局全部自分に帰ってくるんです。
やりたくないことが生まれるということは、新しいチャレンジをしているということ
──失敗を乗り越え、現在の板垣さんに到るまでの過程が #やりやら には綴られています。失敗の先の成功、さらにその先のビジョンをお聞かせください。
板垣 僕自身、将来こうしたいという大きなビジョンはありません。「これ面白いな」と思ったものに食いついて、広げていく。その点と点をつないで、線にするように進んでいきます。
今後のテーマは「やりたくないことはやらない」を継続し、「永遠にやりたくないことを潰していくこと」です。
やりたくないことをやらないための段階って3つくらいあるんです。
レベル1は、まずは一通り自分でやってみる。僕、今はエクセルもポワーポイントも経理もやりませんが、個人事業主のころはやってみました。やってみたからこそ「やりたくない」に気づけたんです。
レベル2は、やりたくない仕事を他の人にお願いする。お願いしたことで確保した自分の時間で、新しいプロジェクトに挑戦します。
そうしてレベル3まで上がった時に、今までとは違う、やりたくないことが生まれてくる。やりたくないことが生まれるということは、新しいチャレンジをしている証拠であり、成長している証です。
やりたいことをやる
— ゆうご®️新着Amazon1位「やりやら」by幻冬舎 (@yugo_itagaki) 2019年3月19日
↓
結果が出る
↓
もっと面白くなる
↓
レベルが上がる
↓
更に結果が出る
↓
面白さが増していく
↓
更にのめりこむ
↓
その分野の達人になる
「やりたいこと」は結果が出るから「本当にやりたいこと」になっていく。
結果を出すことに楽しさを感じれば、一生楽しい人生だ。
片野 板垣さんは、「これは僕のやりたくないことだけど、君のやりたいことじゃない?」を目指しているんですよね。
板垣 そうです。経営者によっては、魅力的な福利厚生やボーナスなどの雇用制度によって人を囲い縛りつけ、自分の利益を確保する人もいます。でもその瞬間から人の成長は止まるのではないかと考えています。
だからこそ僕は、縛り付けあう関係じゃなくて、惹きつけ合う関係を目指しています。
僕の会社は業務委託が99%なんです。出勤時間もなければ拘束時間も当然ない。「やりたいミッションを家でも事務所でもいいのでやってください」と、言っています。それにもかかわらず、事務所にはたくさん人が来てくれるんです。
自分の魅力をアップデートすれば、契約書で人を縛りつけなくても、人が寄ってきてくれるというわけです。
世の中のためにどうとかより、まず自分の脳を喜ばせたい
前田 僕も板垣さんと同じで「これをやり遂げたい」という大それたものはないです。目の前の面白いことに飛びついて広げていく。
僕17年デザイナーやってきて、今年から漫画家に転身したんですが、これだってそう。去年から始めた「前田デザイン室」というオンラインサロンもそう。前田デザイン室が誕生するきっかけとなった箕輪編集室に入ったのもそう。
箕輪編集室に入ってデザインをたくさんやっていたから、板垣さんに知ってもらえた。片野さんにも出会えた。
こんな風に興味のあることをどんどんやって、そこから広がることが楽しいんですよ。だから「世の中のために、何かやってやろう」というものはなくて、自分の脳が喜ぶ楽しいことをしたいです。
あ、でも一つありました!
「元・任天堂」という肩書きが消え去るくらいの、名刺がわりになる作品を作ることです。そういう意味では #やりやら をベストセラーにして、この本の装丁をした前田高志として世間に知られたいですね!
死ぬほどやりたかった装丁のお仕事。全力を尽くしました。おもいっきりできたのは幻冬舎片野さん、著者の板垣さんのおかげです。本当にありがとうございました! https://t.co/TFWnTYTGDI
— まえだたかし/漫画マン (@DESIGN_NASU) 2019年3月19日
片野 いいですね、それ最高。
自分のやりたくないことは、きっと誰かのやりたいこと
── #やりやら の中には、これから始めるオンラインサロン(※)のことについても書かれています。板垣さんのサロンは圧倒的なヒーローに集う「ドラゴンボール型」ではなく、それぞれの能力を持ち寄る「ロマンシング・サガ型」とのことですが、詳しくお聞かせください。(※リリース済み。詳細はこちら)
板垣 僕がやってきたことをサロンメンバーも実践すれば、何者かになれる場所になるのではないかと考えています。僕は、エクセルもパワーポイントもできない、経理も嫌です。
でも、僕は“i+Remaker”(※)のブランドを世界一にすることができます。(※アイリメーカー。板垣さんが経営する会社のブランド。iPhone修理事業とオンラインサロン、2つとも同じ名前で運営している)
「自分のやりたくないことは、きっと誰かのやりたいこと」という持論があるからです。
僕がエクセルが嫌いでも、世の中にはエクセルがめちゃくちゃ好きな人もいます。
僕のサロンは「やりたいことをやりましょう」より、「やりたくないことは誰かにお願いして自分のやりたいことを尖らせていこう」という場所にしていきたい。
僕、今では会社の経営が順調でこんな風に本も出すこともできた。でも実際、僕だって何者でもないんです。ただ、純粋に「やりたくないことをやらない」を貫いただけ。裏では人にお願いして、自分のやりたいことのエッジを効かせてきただけにすぎない。他のみんなにもできるはず。一人に依存する形ではなく、みんながヒーローになれる場所にオンラインサロンがなればいいなと考えています。
片野 i+Remakerサロンは「#i(アイ=私、愛)を取り戻せ」がコンセプトなんですよね?
板垣 そうです。「やりたくない」をやらないようにして、自分の好きなことにたどり着き、自分を取り戻す場所にできたらなと。実は“Re”の部分にも思い入れがあって、リメイクだけじゃなく、リスペクトの意味もあるんです。あ、でも後付けなんですけどね(笑)。
片野 いいじゃないですか、最初からそうだったということにしときましょう(笑)。
(対談・了)
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「やりたくないおじさん」スタンプ発売!
この3人の出会いから生まれた、出版連動企画 「#やりやら プロジェクト」では、出版史上初!!書籍からインスパイアされたLINEスタンプをリリースすることになりました。その名も、「やりたくないおじさん」スタンプ!!やりたくない場面でどんどん使ってみたい仕上がりになっています。
イラストは、前田デザイン室メンバーであり、LINEスタンプ『うさぎ帝国』作者 endoさんによるものです。本の帯にもQRコードがついています。
ダウンロードはLine Storeから
トークイベントのお知らせ
出版を記念し、渋谷のBOOK LAB TOKYOさんで3人のトークイベントが開催されます。当日限定のオリジナルグッズも用意しています!また、当日はいわゆる「ボツ」となった装丁案もぜんぶお見せして、本づくりの軌跡をすべて楽しめるようご準備しています。ぜひ足をお運び下さい。
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やりたくないことはやらなくていい
予約開始とともにAmazonビジネス実用・新着部門で1位を獲得した話題の『やりたくないことはやらなくていい』(3月27日発売、小社刊、1400円+税)。いま、スマホ売買業界で最も注目される起業家が著した「凡才」のための人生論です。「『ビリギャル』著者・坪田信貴さん推薦!」「日本初!? ビジネス書なのに公式LINEスタンプ発売決定!テーマソングも制作決定!」「装丁は元・任天堂デザイナーの前田高志氏!」などTwitterでも話題。