深く考えずにリツイート――その行為が、人を殺すことがある。「フェイクニュース」と聞けば、まずはトランプ大統領とメディアの攻防を思い浮かべる人は多いと思うが、もっと生々しい脅威が世界各地で広まっている。特に新興国ではフェイクニュースに惑わされた人々が暴徒と化し、無実の人を殺害する事件が相次いでいる。
スマホで回ってきたウワサが恐怖を呼んで…
スマホなんて、なんとなく先進国の贅沢品のようなイメージがあったが、実際にはその普及率は先進国も新興国もあまり変わりがないようだ。固定電話を引けない地域でも、無線アンテナなら安価で立てることができ、グーグルなどは早くから「アフリカ開拓」に乗り出していた。中南米、東南アジアなどもかなりの高普及率で、日本よりもキャッシュレス化が進んでいる地域もある。しかし、同時に普及してしまったのが、メッセージアプリやSNSによる「フェイクニュース」だ。
インドでは、「児童誘拐犯がこの地域に侵入した」というフェイクニュースがメッセージアプリによって大拡散され、自警団や恐怖におびえた群衆が、見知らぬ人を犯人と勘違いして集団リンチを加えるという事件が頻発。日本に伝わっているだけでも数か月のうちになんと20人以上が殺害されているという。2018年5月には、バイクに乗った男性が子供をさらう動画が拡散され、路上で子供にお菓子をあげていたなんの罪もない男性が、犯人と勘違いされて殺害されてしまった。出回った動画は、隣国パキスタンで制作された「児童誘拐に注意せよ」という啓発動画の一部だったという。同様の事件が、ミャンマー、スリランカ、エクアドル、コロンビアなど各地で報告されている。
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オオカミ少女に気をつけろ!
嘘、デマ、フェイク、陰謀論、巧妙なステマに情報規制……。混乱と不自由さが増すネット界に、泉美木蘭がバンザイ突撃。右往左往しながら“ほんとうらしきもの”を探す真っ向ルポ。
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