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美しい暮らし

2019.04.20 公開 ポスト

谷中つくねと赤いつくね矢吹透

早いもので、スーパーマーケットの野菜売り場に、葉生姜が並び始める季節がやってまいりました。

東京では、谷中生姜と呼ぶ方が、通りがよいかもしれません。

子供の頃、夏になると、父が晩酌の当てに谷中生姜に味噌をつけて、齧っていたことを思い出します。

真似をして、齧ってみると、ぴりぴりとした生姜の刺激が、口の中に広がり、慌てて水を飲み、喉の奥へと流し込んだ、幼い日の記憶がございます。

年月を経て、谷中生姜をいつか好んで頂くようになった、現在の私があります。

行きつけの焼き鳥屋さんで、谷中生姜の旬が来ると、谷中つくね、というメニューが登場いたします。

谷中生姜をつくねで包み、焼いたものなのですが、肉の旨味とぴりっとした生姜の味わいと香りのコンビネーションが絶妙で、私の好物のひとつです。

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矢吹透『美しい暮らし』

味覚の記憶は、いつも大切な人たちと結びつく——。 冬の午後に訪ねてきた後輩のために作る冬のほうれんそうの一品。苦味に春を感じる、ふきのとうのピッツア。少年の心細い気持ちを救った香港のキュウリのサンドイッチ。海の家のようなレストランで出会った白いサングリア。仕事と恋の思い出が詰まったベーカリーの閉店……。 人生の喜びも哀しみもたっぷり味わせてくれる、繊細で胸にしみいる文章とレシピ。

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美しい暮らし

 日々を丁寧に慈しみながら暮らすこと。食事がおいしくいただけること、友人と楽しく語らうこと、その貴重さ、ありがたさを見つめ直すために。

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矢吹透

東京生まれ。 慶應義塾大学在学中に第47回小説現代新人賞(講談社主催)を受賞。 大学を卒業後、テレビ局に勤務するが、早期退職制度に応募し、退社。 第二の人生を模索する日々。

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