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デビューの頃

2019.06.04 公開 ポスト

私が作家になった瞬間橘玲(作家)

どんな作家にもデビュー作がある。
それが華々しいときもあれば、静かな船出であることもある。
いずれにせよ、みな、書き出し、書き終え、世に問いたい、と願ったのだ――。

<今回の執筆者>
橘玲(たちばな・あきら)
1959年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2002年、小説『マネーロンダリング』でデビュー。06年、小説『永遠の旅行者』が第十九回山本周五郎賞の候補作となる。他の著者に『タックスへイヴン』『亜玖夢博士のマインドサイエンス入門』『新版お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』『言ってはいけない』等がある。

誰も知りえない情報を伝えるために

自分が「作家」になった瞬間ははっきりと覚えている。それは2000年の春、香港から成田へと向かうフライト中の出来事だった。

私はそのとき中堅出版社の編集者で、「フリー、フェア、グローバル」を掲げた橋本龍太郎政権の大規模な金融制度改革「金融ビッグバン」に触発され、海外の金融機関に個人で口座を開設し、日本国内では販売されていない株式や債券、ファンド、デリバティブなどの金融商品に投資するノウハウ本をつくっていた。

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橘玲 作家

1959年生まれ。作家。2002年、小説『マネーロンダリング』でデビュー。同年、『お金持ちになる黄金の羽根の拾い方』が30万部超のベストセラーに。06年、小説『永遠の旅行者』が第19回山本周五郎賞の候補作となる。また、『言ってはいけない』が新書大賞2017に輝く。他の著書に『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』『(日本人)』『亜玖夢博士の経済入門』『タックスヘイヴン』『ダブルマリッジ』『朝日ぎらい』『上級国民/下級国民』『女と男 なぜわかりあえないのか』『バカと無知』等がある。

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