◎今回取り上げる古典:『戦争論』(クラウゼヴィッツ)
愚者と賢者に境目はない
私は人文系の書籍を多く読む。雑誌も読むよう心がけている。あるとき、高名な学者が、某国で流行していた疫病について語っていた。その知識は異常なほど広大で、疫病や医学研究史や、パンデミック時の群集心理にも触れていた。その学者が、けっきょくのところ、私たちとしては何に注意すべきか、という質問に答えていた。
「手洗いとか、うがいとかが重要ですよね」
きっと笑うべきところではないだろうが、笑ってしまった。なぜならば、それなら無学な私もやっている。これは知識を揶揄したいわけでは、けっしてない。私も知識の欠片を売って生活している。
しかし、と私は思ったのだ。愚者も賢者も、行動レベルでは変わりがないのか、と。
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