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奇跡のホルモン・スイッチ

2019.06.19 公開 ポスト

「肉好き」と「ベジタリアン」うつ病になりやすいのはどっち?加藤雅俊(薬剤師・体内環境師)

やる気を高めるノルアドレナリン、快感をもたらすドーパミン、精神を安定させるセロトニン、男らしさをつくるテストステロン、「可愛い」「守りたい」という気持ちを引き出すオキシトシン……。私たちの心や行動は、こうした「ホルモン」に支配されています。『奇跡のホルモン・スイッチ』は、そのホルモンを自在に操る方法が書かれた一冊。仕事から恋愛まで、読めば人生がバージョンアップする本書の一部をご紹介します。

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セロトニンは肉からつくられる

野菜はビタミンやミネラルが多く体に大切な食べものですが、そればかりだと「心の病気」になってしまいます。

(写真:iStock.com/AlexRaths)

肉を食べないベジタリアンは、感情をコントロールする脳内ホルモンであるセロトニンを作る材料が不足するため、鬱病になりやすい傾向があります。

アメリカとイギリスの共同チームが、ある調査を行いました。菜食中心の食生活が精神衛生にどのような影響を及ぼすかという調査です。

イギリスで自己申告された約1万人の食生活データを分析したところ、菜食主義だと答えた人は肉を食べる人に比べて鬱病になるリスクが高いことがわかりました。自己申告なので、自称菜食主義者の中には肉を食べている人もいるかもしれません。とはいえ、菜食中心の食生活と精神衛生の関連性は無視できないものがあると言えるでしょう。

そのため、ベジタリアンの方は食事の内容に、少し工夫をすることが大切だと思います。

セロトニンは、食事から得るアミノ酸のトリプトファンとビタミンにより脳内で作られます。トリプトファンは大豆で摂取できますが、ビタミンは肉や魚などに多く含まれているため、意識して摂らないと、どんどん不足する恐れがあります。野菜や果物の中では、とうがらし、にんにく、バナナなどに多く含まれているので、ベジタリアンの方は積極的に摂っていただきたいです。

また、ベジタリアンは、鬱病になりやすいだけではなく、実は糖尿病にもなりやすい傾向があることもわかっています。

糖尿病は、食後に増加した血糖を処理できずに高血糖になる病気です。本来、食事によって血糖値が上昇すると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されて血糖をとりこみ、エネルギーとして利用したりタンパク質の合成や細胞の増殖を促したりします。しかし、ベジタリアンはインスリンを上手に分泌できません。インスリンの材料であるアミノ酸が不足する傾向にあるからです。

ベジタリアンは、どうしてアミノ酸が不足しやすいのでしょうか。

アミノ酸は20種類あり、そのうちの9種類は人体では生成できないため、食事で補わなくてはいけません。開業医でスポーツ栄養士のブランドン・メントル医師は、「動物性タンパク質はこの9種類をカバーするけれど、植物や野菜などのシンプルな有機体は、必ずしも全種類カバーできるとは限らない」と警鐘を鳴らしています。

これは、インドが糖尿病大国であることとも関係していると思います。2045年にはインドの糖尿病患者数は1億2000万人に達して、世界一になると予測されています。そのころ、インドの人口は約16億人と予測されているので、約13人に1人が糖尿病患者になるという計算になります。

インドは、宗教上の問題で菜食主義者が多いため、糖尿病のリスクを高めているのではないかと、私は懸念しています。

「ホルモン」は何からできているのか?

セロトニンを作るには、豚肉を食べるのが効率的です。それでは、他のホルモンの材料は何なのでしょうか。

(写真:iStock.com/miya227)

ホルモンは、化学構造的に「アミノ酸系」と「コレステロール系」に分けられます。「ノルアドレナリン・アドレナリン」「ドーパミン」もアミノ酸系なので、とにかく肉を食べておけば材料は足りますが、これらの他に挙げるなら、鰹節、チーズ、大豆、すじこ、たらこなどがよいでしょう。

ちなみに、ドーパミンはノルアドレナリンの原料になります。ドーパミンがノルアドレナリンを作り、ノルアドレナリンが分泌されるとアドレナリンが出ます。

「コレステロール系」のホルモンの材料は、脂です。卵・魚介類・レバー・ラードなどがよいと思います。コレステロール系のホルモンの代表格は、男性ホルモン、女性ホルモンなどの性ホルモンです。

女性の方は経験があるかもしれませんが、ダイエット目的で脂質を抜くと、乾燥肌になり髪の毛もパサパサになると思います。女性ホルモンには美しい髪の毛を作り肌ツヤをよくする働きもあるので、材料が不足すると髪のダメージと肌のうるおいが失われてしまうのです。

体脂肪率を極度に落とそうとすると、生理が止まることもあります。体脂肪率というのは、体全体に占める脂肪の割合です。体脂肪率が15%だと黄色信号、13%を切ると赤信号です。絶対に15%を切らないようにして下さい

アスリートの方は、もっと体脂肪率が低いので、妊娠・出産という未来を考えるといろいろと複雑です。選手生命を短くして早めに子供を産むのか、それとも、出産できないリスクを承知のうえで世界一を目指すのか……。犠牲にするものが、男性アスリートとは全く違うのです。

加藤雅俊『奇跡のホルモン・スイッチ 潜在能力を引き出す』

やる気を高めるノルアドレナリン、快感をもたらすドーパミン、精神を安定させるセロトニン、男らしい体とメンタルをつくるテストステロン、「可愛い」「守りたい」という気持ちを引き出すオキシトシン等々、体内でつくられ、生命活動をコントロールするのが「ホルモン」。ホルモンがうまく働けば、人間にもともと備わっている能力が引き出され、仕事の成果もグンと上がる! ホルモンを自在に操る「魔法のスイッチ」である即効ツボ押し・運動法から、生活習慣・話し方まで。ホルモンをまるごと味方につける画期的な一冊。

加藤雅俊『薬に頼らず血圧を下げる方法』

「減塩や降圧剤で高血圧は治らない」 著者である加藤雅俊先生のそんな言葉から 本書の企画はスタートしました。 なぜ減塩、降圧剤で改善しないのか。 そもそもなぜ血圧が上がるのかについても わかりやすく解説しています。 減塩や薬に頼る前に 「まずは自分自身でできることがある」と語る 加藤雅俊先生が教える降圧法で、 血圧に振り回される毎日から 自由になれるはずです。

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奇跡のホルモン・スイッチ

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加藤雅俊 薬剤師・体内環境師

JHT日本ホリスティックセラピー協会会長。JHT日本ホリスティックセラピストアカデミー校長。ミッツ・エンタープライズ株式会社代表取締役社長。薬剤師。体内環境師。薬学予防医療家。薬に頼らず症状に対して食事や運動など多方面からアプローチする「ホリスティック理念」を日本で初めて唱えた第一人者。現在、昭和大学薬学部研究室にて「食と運動と脳(心)の関連性」について臨床研究に取り組んでいる。著書は『薬に頼らず血圧を下げる方法』(アチーブメント出版)、『1日1分で血圧は下がる! 薬も減塩もいらない!』(講談社)、『食事をガマンしないで血糖値を下げる方法』(マガジンハウス)ほか多数。著書累計は220万部を超える。

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