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噛む力

2019.06.26 公開 ポスト

虫歯にならない3つの習慣…一度なったら完治はしない!中村健太郎

「審美」「インプラント」「矯正」には要注意! そう警鐘を鳴らすのは、歯学博士の中村健太郎さんだ。人生100年時代、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)のカギとなるのが「歯の健康」。いくつになっても自分の歯で食事をするには、どんなことに気をつければよいのか? 最新の知見が満載の著書『噛む力』より、重要なポイントを抜き出してみました。

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虫歯菌の大好物「ショ糖」

常在細菌の一つである虫歯菌の急激な増殖を引き起こす最大の原因は、ショ糖(砂糖)です。

(写真:iStock.com/OcusFocus)

糖類にはいくつか種類があります。みなさんおなじみの白い砂糖(上白糖)がショ糖。他には、果物に含まれる果糖や、蜂蜜に含まれるブドウ糖などがあります。

これら糖類の中で、虫歯の菌が優勢となるきっかけを与えるのは、ショ糖だけです。「甘いもので虫歯になる」と言われてきた方も少なくないと思いますが、甘ければ虫歯になるわけではありません。虫歯菌を増大させるのはショ糖の存在。コーヒーの砂糖やクッキー、キャンディーなどのスイーツは、歯にとっては大変危険なのです。

唾液は口腔内全体の粘膜までも覆い、殺菌をして、口の中を一定の状態に保っています。ところが、そこにショ糖が入ってくると、細菌によって口腔内が強酸性となり、唾液による再石灰化が追いつかなくなります。エナメル質に修復しきれていない部分があると、虫歯は一気に進行することになります。

古代人の骸骨には、ほとんど歯が残っています。当然ですよね。その時代にはショ糖がなかったのです。

江戸時代や室町時代にも、すでにショ糖はありました。ただ、当時はきわめて高価で、庶民の口に入ることはまずありませんでした。昭和の初期になっても、まだまだ普及とまではいかず、戦後になって、食生活が豊かになると同時に、ショ糖は一気に普及しました。虫歯になる人が圧倒的に増えたのは、その結果なのです。

命に関わる病気を招くことも

虫歯や歯周病は、「感染症」です。感染症は、非常に恐ろしいものです。歯周病菌が口の中だけでなく血管に入り込めば、糖尿病の他、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞といった重篤な疾病の原因となることもあります。感染症はときに、人の生死に関わる重大な疾病を引き起こします。虫歯や歯周病の細菌も、例外ではないのです。

(写真:iStock.com/tylim)

しかも厄介なことに、一度、虫歯や歯周病になってしまうと、決して「完治」はしません。「歯科で虫歯を削って詰め物をすれば、治るじゃないか」と思われるでしょうか? しかしそれは治癒ではなく、「寛解」という状態にすぎません。「症状が問題のない程度まで軽減された」「消えたように見える」という状態が寛解です。

虫歯や歯周病が、寛解はしても完治はしないその理由は、虫歯菌や歯周病菌のサイズがわずか1ミクロンほどときわめて小さいこと、常に口の中にいる常在細菌であること、さらには「嫌気性細菌」であることにあります。

空気があるところでは繁殖しませんが、空気がないところ、つまり手が届かないところに入り込んだ途端に、増殖が加速する菌なのです。

たとえば虫歯の治療では、虫歯菌に侵された部分を削り、詰め物をします。しかし、感染した部分を残らず削って取り除いたように見えても、ごくわずかに残っている可能性があります。

また、虫歯菌は常在細菌としてずっと口の中に存在しているため、詰め物と歯の間の、目には見えない微細な隙間から侵入することもあります。

虫歯や歯周病は、かかってしまう前に、感染しないよう心がけることが最も重要です。その方法は、

・自然に持つ免疫成分を含む唾液をしっかり出すこと

・ショ糖を食べるのを控えること

・食事は時間を決めて食べ、ダラダラ食べ続けないこと

などが必要とされています。

関連書籍

中村健太郎『噛む力』

「矯正」も「インプラント」も要注意! 寿命を縮める歯科医療の真実。 ・「マウスウォッシュ」はむやみに使うな ・「いい歯石」と「悪い歯石」がある ・片側だけで噛んでいると「高血圧」になる ・しつこい口臭は「唾液」で直せ 人生100年時代の口腔ケアを歯学博士が語る。

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噛む力

「審美」「インプラント」「矯正」には要注意! ほてつ(補綴)治療を知り健康寿命を延ばせ! ほてつ治療では、歯を1本単位で見ず、歯列単位で口の中全体を考えます。その種類は、大きく分けると、歯の一部を失った場合の「クラウン」と、歯そのものを失った場合の「ブリッジ」「接着ブリッジ」「部分入れ歯」「総入れ歯」「インプラント」があります。その最大の特長は、手遅れがないことです。たとえ100歳でも、遅すぎることはないのです!

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中村健太郎

Shurenkai(修練会)Dental Prosthodontics Institute院長、歯学博士。1962年、愛知県生まれ。89年、愛知学院大学歯学部卒業。同年、愛知学院大学歯学部冠・橋義歯学講座所属。95年、中村歯科醫院開院。2010年、中村歯科醫院終院。現在、愛知学院大学歯学部冠・橋義歯学講座非常勤講師、愛知学院大学歯学部高齢者歯科学講座非常勤講師、公益社団法人日本補綴歯科学会専門医・指導医などを務めながら、公益社団法人日本補綴歯科学会認定研修機関とShurenkai(修練会)を主宰し、全国の歯科医師に向け、ほてつ(補綴)歯科治療の大切さを伝えている。

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