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ラブコメ!萬葉集

2019.06.26 公開 ポスト

第3回

萬葉集版・LINEを送りすぎて既読スルーされる女子三宅香帆

我が形見見つつしのはせ荒珠(あらたま)の年の緒長く我も思(しの)はむ(巻四・五八七)

(現代語訳)お別れの時に私があげたプレゼント、ちゃんと見返して私のことを思い出してくださいね。私もずっとずっとあなたのことを思っていますわ(はぁと)。

 

……これが長年連れ添った夫婦のあいだで贈られた歌なら「わーラブラブだー」とにっこり微笑みたくなるけれど。結婚しているわけでもない女性から、遠くへ赴任することになった時に贈られた歌だとすると、けっこう「うっ、おそろしい」と背筋を凍らしてしまう、かもしれない。

今回ご紹介するこの歌の作者は、その名も笠女郎(かさのいらつめ)さん。

笠女郎、めちゃくちゃかわいい歌詠むんだけど、その一方で愛が重たく歌も重たく、現代風に言うと「LINEを送りすぎて既読スルーされる女子」なのですわ……。

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ラブコメ!萬葉集

新元号「令和」の元ネタとして今注目の「萬葉集」。萬葉集研究をしていた京大院卒書評家が、その面白さを現代目線からぶったぎりつつ解説します。

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三宅香帆

1994年生まれ。高知県出身。文筆家、書評家。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。天狼院書店(京都天狼院)元店長。大学院にて萬葉集を研究する傍ら、2016年天狼院書店のウェブサイトに掲載した記事「京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本ベスト20を選んでみた。 ≪リーディング・ハイ≫」が2016年年間総合はてなブックマーク数ランキングで第2位に。選書センスと書評が大反響を呼ぶ。著書に外国文学から日本文学、漫画、人文書まで、人生を狂わされる本を50冊を選書した『人生を狂わす名著50』(ライツ社)、『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』(サンクチュアリ出版)『副作用あります!? 人生おたすけ処方本』(幻冬舎) 『女の子の謎を解く』(笠間書院)『それを読むたび思い出す』(青土社)などがある。

Blog:https://m3myk.hatenablog.com/
Twitter:@m3_myk

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