巨人のエース・菅野智之が、プロ最短の1回0/3でKO降板した。6月23日のソフトバンク戦。勝ったほうが交流戦優勝という大一番だが、マウンドの菅野はウォーミングアップから様子がおかしかった。手投げばかりで、投げ終わったら右足が一塁側に出て、上体のねじれ(ひねり)がなく、体が左側に倒れている。
「これは腰か腕が相当悪いな。こんなんじゃ打ち込まれるぞ」と思っていたら、案の定だ。先頭打者ホームランなど3安打と2四球に、セーフティースクイズであっという間に4点を先制された。
2回表、先頭の投手・和田を歩かせたところで原監督がサッとベンチを出たのは正解だった。立ち上がりに打たれても優れた修正能力で立ち直る菅野だが、この日はその時間もなかった。原の素早い判断に驚いたファンも多かったようだが、この日ばかりは続投しても立ち直れなかっただろう。この乱調では、菅野の故障は重傷の可能性が高い。
宮本投手総合コーチの判断と責任
私は後出しジャンケンの結果論をいっているのではない。前々回に菅野の登録抹消を取り上げたとき、「コーチやトレーナーは責任を果たしているのか」と指摘した。
そのうえで「コーチはエースのコンディションに気を配り、戦列を離れるほど悪化する前に十分な指導と対策を講じていたのか。(中略)二軍での調整中に腰痛の原因を究明できたのか(中略)人間には誰でも自然治癒力がある。病気やケガで痛みが出たときは、休んでいれば自然に痛みが消えるが、原因を突き止め、適切な治療をしておかなければ再発する」と警告した。
報道によれば二軍での休養・調整後、「もう大丈夫」と自己申告したことで一軍に再登録されたという。つまり、宮本投手総合コーチは菅野の判断を信用して監督に報告したわけで、担当コーチとしての専門的な知識や判断で調整・指導をしたうえでゴーサインを出したわけではないようだ。
だとすれば、私が新刊『言わなきゃいけないプロ野球の大問題 巨人はなぜ勝てなくなったのか?』(幻冬舎)で、長年巨人を離れて芸能活動に励んできた宮本と内野守備兼打撃コーチの元木について「芸能人コーチ陣は大丈夫か」と問いかけた危惧が、早くも的中したことになる。
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