独自の家庭教育で、一人娘を地方公立校からハーバード大学現役合格に導いた廣津留真理さん。学校や塾に「外注」しなくても、親の教育しだいで子どもの学力はいくらでも伸ばすことができるのです。著書『世界のトップ1%に育てる親の習慣ベスト45』より、今日からわが子に実践できるメソッドをご紹介します。お父さん、お母さんは必見!
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これからは学力以外が問われてくる
日本の教育は極端な学力偏重であり、日本人学生のほぼ全員が5教科の学力を伸ばすことだけに血道を上げています。外注先の学校や学習塾はもちろん、家庭でも宿題や復習という形で5教科を学び、週末は模試、夏休みなどの長い休みは夏期講習などの名前でひたすら詰め込み教育を実践してきたのです。
ところが、実社会に出たとたん、人は5教科以外のあらゆる方面から判断されます。
決断力、リーダーシップ、ボランティア精神、創造力、コミュニケーション能力、社会貢献度、社会適応能力、異文化理解力、オタク力、かわいげ、チームワーク力などさまざまです。
世界的に見ると、学力偏重の詰め込み教育はとっくの昔に時代遅れになっており、日本でも次期学習指導要領では学力以外の学びに向かう力、人間性、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力などを育てることを志向しています。
大学入試で大学側が学力以外の部分をどのように評価するかはまだ定まっていません。そこで参考になるのがアメリカの大学入試。日本の次期学習指導要領もネタ元はアメリカの教育や大学入試であり、最終的にはそこに行き着くはずだからです。
アメリカでも大学によって出願にあたって用意するべきものは異なりますが、ここではトップスクールの一つ、ハーバード大学を例に取りましょう。
ハーバード大学が求めている学生とは
下のリストを見ると、学力をチェックするのは(7)SAT(大学進学適性試験)またはACT(全米共通大学進学適性試験)の成績と、(3)スクール・リポート(内申書/成績証明書)だけ。(5)ティーチャー・リポート2通(教師2名からの推薦状)で生徒個人のオリジナリティや学びに向かう力を問い、(6)インタビュー(面接)や(8)エッセイ(小論文)で学生たちの人間性や思考力・判断力・表現力を見極めようとしています。
大学入試というより企業の採用試験に近い印象で、教育改革の旗振り役の一人である藤原和博さん(奈良市立一条高校校長)も、雑誌のインタビューで「これからの日本の大学入試は要するに企業の採用試験に近づくだろう」とおっしゃっています。
(9)課外活動の成果も重要。これは学力を超えた創造性、個性を活かした特技、人間性、豊富な社会体験などの有無を問うものです。具体的にはリサーチ、発明、芸術、スポーツ、ボランティア活動、リーダーシップ、インターンシップ&ワーク・エクスペリエンス(企業などでの職業体験)などが含まれています。リサーチ、音楽、スポーツなどでは何らかのアワード(賞)を獲っていることが目安となります。この全部をやらなくてもOK。自分にできる範囲でやってみましょう。
アメリカでは、高校を卒業して大学に進学する前に、あるいは大学から大学院へ進む前に、ギャップ・イヤー(gap year)という1年間の休みを取る学生が大勢います。その間に発展途上国で恵まれない子どもに英語を教えるボランティア活動をしたり、興味のある複数の企業でインターンとして働いてみたりします。ギャップ・イヤーの活動は、自分たちがそれまで続けてきた課外活動の成果を形にするために行われるケースが多いのです。
家庭教育で伸ばすべきなのは、(9)課外活動の成果。芸術やスポーツといった分野で子どもの得意を伸ばすサポートをし、ボランティア活動、リーダーシップ、インターンシップ&ワーク・エクスペリエンスなどのフィールドでも、子どもたちが人生経験、社会体験を積めるように手伝ってあげてください。課外活動は(6)インタビュー(面接)、(8)エッセイ(小論文)の内容にも間接的に関わってきます。
これらの課外活動は「試験項目にあるからやる」とか「面接や小論文に役立つからやる」といった消極的なものではありません。子どもの一生を豊かに彩る大切な要素です。子どもの人生を充実したものにするためにも、学校を出たらほぼ役に立たなくなる5教科ではなく、課外活動に家庭を挙げて積極的に取り組んでください。
世界のトップ1%に育てる親の習慣ベスト45
独自の家庭教育で、一人娘を地方公立校からハーバード大学現役合格に導いた廣津留真理さん。学校や塾に「外注」しなくても、親の教育しだいで子どもの学力はいくらでも伸ばすことができるのです。著書『世界のトップ1%に育てる親の習慣ベスト45』より、今日からわが子に実践できるメソッドをご紹介します。お父さん、お母さんは必見!